データアーキテクトとデータエンジニアの違いは?共通点はある?

エンジニア

データアーキテクトとデータエンジニアは、それぞれの職務範囲において「データの設計と戦略」「技術の実装と管理」という大まかな役割の違いがありますが、データマネジメントの専門知識とデータ利活用を支えるプロフェッショナルという共通点も持っています。所属する組織によって必要なスキルや募集要件が微妙に異なりますが、それぞれの職種に明確な違いはあるのでしょうか。この記事では、データアーキテクトとデータエンジニアの相違点や類似点について、他のデータ関連職種とも比較しながらわかりやすく解説します。

データアーキテクトとデータエンジニアの違い

ここからは、データアーキテクトとデータエンジニアの違いについて解説します。それぞれに求められる役割やスキルが異なる点をみていきましょう。

役割の違い

データアーキテクトの役割

データアーキテクトは、データマネジメントの設計と戦略に従事する立場です。彼らはビジネス要件や目標に基づいてデータ戦略を策定し、データの収集、処理、保管、分析などのプロセスを統合的に設計します。データモデリングを行い、データの構造と関係を定義し、データベースやデータウェアハウスのスキーマを作成します。データ基盤の設計を担当し、データの効率的な管理と利活用を実現します。また、データ品質とセキュリティの管理にも関与し、データの正確性、完全性、信頼性を確保する仕組みを構築します。そして、組織内のデータ戦略立案やデータマネジメントの実践をリードし、効果的なデータ活用を促進するのです。

データエンジニアの役割

一方のデータエンジニアは、データマネジメントの技術的なタスクに従事する役割です。彼らはデータ処理パイプラインの開発と実装、データストレージとデータベースの管理、データ処理技術の選定を担当します。データの収集、変換、ロード(ETL)プロセスやデータパイプラインの設計、開発、管理を行い、データストレージとデータベースの設計と最適化を行います。また、データの可視化と報告にも関与し、データ駆動の意思決定を支援します。データエンジニアは、データ関連の技術とツールに精通し、データ処理の効率性と信頼性を確保する役割を果たします。

スキルの違い

データアーキテクトに求められるスキル

データアーキテクトに求められるスキルは以下のようなものです。データフローやデータウェアハウスの設計、データストレージやデータベースの知識、データ処理技術やデータ統合ツールの導入経験、品質管理、ビジネスユーザーとのコミュニケーション能力、プロジェクトマネジメントやリーダーシップ、セキュリティやプライバシーの理解、データ分析とビジュアライゼーションのスキルなどが重要です。また、業界のトレンドや規制に関する知識、問題解決能力、チームワーク、コラボレーション能力も必要です。継続的な学習と技術の進歩に対する柔軟性も求められます。

データエンジニアに求められるスキル

データエンジニアに求められるスキルは次のようなものです。データ処理技術(SQL、Python、Hadoopなど)、データパイプラインの設計と開発、データストレージとデータベースの知識、クラウドプラットフォーム(AWS、Azure、GCPなど)の経験、ビッグデータ技術(Spark、Hive、Kafkaなど)、ETL(抽出、変換、ロード)のスキル、データ品質管理の能力、問題解決とデバッグのスキル、チームワークとコミュニケーション能力が重要です。継続的な学習と最新の技術トレンドに対する関心も求められます。

データアーキテクトとデータエンジニアの共通点

データアーキテクトとデータエンジニアは、ともにデータ関連の仕事に携わるポジションであり、以下のような共通点があります。

データマネジメントの実践

どちらの役割もデータ処理に関する専門知識を持ち、大規模なデータを運用するベストプラクティスに精通しています。データモデリング、データウェアハウス、データカタログなど、データマネジメントの概念や技術について深い理解を持っています。

データ戦略の策定

データアーキテクトとデータエンジニアは、データ戦略の策定に関与します。データの収集、処理、保管、分析などのプロセスを統合的に考え、ビジネス目標や要件に合わせたデータ戦略を策定します。

データ基盤の設計と開発

両者ともにデータ基盤の設計と開発に関わります。データアーキテクトは、データモデリングやデータフローの設計、データストレージの選定などを担当します。一方、データエンジニアは、データ処理パイプラインの設計や実装、データベースの管理、ETL(抽出、変換、ロード)プロセスの開発などを担当します。

データ品質の確保

組織が継続的にデータを活用するために、データ品質とセキュリティの確保にも貢献します。データの正確性、完全性、信頼性を確保するためのデータ品質管理プロセスの策定や監視を行います。また、データのセキュリティ対策やプライバシー保護にも関与します。

チームとの協力

両者はデータ関連のプロジェクトでチームと協力します。他のデータ関連の専門家やエンジニアと連携し、データアーキテクチャの実装やデータパイプラインの開発を推進します。また、ビジネスステークホルダーやユーザーとのコミュニケーションを通じて、ニーズや要件を理解し、解決策を提案します。

これらの共通点からも分かるように、データアーキテクトとデータエンジニアはデータ関連の専門知識を活かし、データの設計、管理、処理に関与する役割として重なる部分があります。しかし、データアーキテクトはより戦略的な側面に重点を置き、データエンジニアはより技術的な実装に重点を置く傾向があります。

データアーキテクトと他のデータ関連職種との違い

データエンジニア以外の「データアナリスト」、「データサイエンティスト」、「アナリティクスエンジニア」、「データスチュワード」、「データマネージャー」とデータアーキテクトとでは、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの職種の特徴を簡潔に説明します。

データアナリスト

データアナリストは、データを分析して得られた洞察からビジネスの意思決定をサポートする役割です。主な業務にはデータの収集と整理、データの探索的分析、データ可視化、レポート作成などがあります。統計やデータモデリング、データ可視化などのスキルが重要です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、データを活用して問題解決や予測モデルの構築に取り組む役割です。データの収集、前処理、特徴エンジニアリング、機械学習モデルの構築と評価などの業務を担当します。統計に加え、機械学習、深層学習、データマイニングのスキルが必要です。

アナリティクスエンジニア

アナリティクスエンジニアは、大量のデータを収集し、処理・分析するための仕組みを構築する役割です。データパイプラインの設計と実装、データベース管理、BIツール、クラウドプラットフォームの活用などに取り組みます。ビッグデータ技術、データ処理、プログラミングスキルが求められます。

データスチュワード

データスチュワードは、データの管理とガバナンスを担当する役割です。データ品質管理、データポリシーの策定、データセキュリティ、データ利用者とのコミュニケーションなどが業務の一部です。データ管理とリーダーシップスキルが重要です。

データマネージャー

データマネージャーは、データ戦略の策定とデータリソースの管理を担当する役割です。データアーキテクチャの設計、データプライバシーやコンプライアンスの管理、データチームのリーダーシップなどが業務の一環です。ビジネス戦略とデータ戦略の統合、プロジェクトマネジメントのスキルが求められます。

まとめ

この記事では、データアーキテクトとデータエンジニアの違いと共通点について解説しました。どちらの仕事もデータ活用ニーズの高まりとともに生まれてきた今の時代ならではの職業です。データマネジメントの専門家という点は、両者に共通していますが、設計や企画など上流工程の比重が高いデータアーキテクトに対して、プロジェクトによって設計から開発、実装、運用など幅広く関わるポジションがデータエンジニアです。また、データスチュワードやデータマネージャーといったポジションもデータアーキテクトに近い上流寄りの仕事といえるでしょう。

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