近年、プロジェクトマネジメントの標準化を実現するために、PMOの需要が急増しています。PMOコンサルタントとは、PMO(Project Management Office:プロジェクトマネジメントオフィス)の専門知識とスキルを持つコンサルタントであり、組織のプロジェクト管理体制の構築、運用、改善を支援する役割を担います。
本記事では、そんなPMOコンサルタントの役割、仕事内容、年収、スキル、資格、将来性について解説します。ネット上で噂される「PMOコンサルはつまらない」「PMOの仕事はきつい」の実態についてもみていきましょう。
PMOコンサルタントとは
PMOコンサルタントは、PMO(Project Management Office:プロジェクトマネジメントオフィス)の立ち上げ、運営、改善を支援する専門家です。PMO支援のエキスパートとして、組織内のプロジェクトを効率的に進めるために必要な体制を構築し、優れたプロジェクト管理のノウハウを共有し、全体に適用する役割を担っています。
コンサルティング業界において、近年はPMOの需要が高まっています。プロジェクトマネジメントの専門知識と経験を活かし、組織の成長に貢献したい方に、PMOコンサルというキャリアパスは魅力的な選択肢となるでしょう。
PMOとは
PMOはProject Management Officeの略称で、日本語ではプロジェクトマネジメントオフィスと訳されます。プロジェクトの成功確率を向上するために必要な仕組みを整備し、PM(プロジェクトマネージャー)をサポートする役割を担っています。
プロジェクトマネジメントの標準化
プロジェクトに使用する手順書やテンプレートを作成し、効率化を促進します。
全社で使用する管理ツールやシステムを導入し、情報共有や進捗管理を円滑化します。
PMBOKに関する研修や教育を実施し、組織全体のPMスキルを向上させます。
プロジェクトガバナンスの構築
プロジェクトガバナンスを構築し、プロジェクトの透明性と説明責任を確保します。
リスク管理や課題管理の仕組みを整備し、プロジェクトの円滑な遂行を支援します。
監査やコンプライアンスチェックを実施し、不正行為のリスクを低減します。
プロジェクト情報の一元管理と共有
プロジェクトに関する情報を一元的に管理し、関係者への情報共有を円滑化します。
ダッシュボードやレポートを作成し、プロジェクトの進捗状況を可視化します。
プロジェクト間の連携を促進し、組織全体でマネジメントの質を高めます。
PMへの支援
個々のプロジェクトの計画策定、実行、管理を支援します。
リスク管理、課題管理、変更管理などの専門的なサポートを行います。
ベストプラクティスを共有し、PMのスキル向上を支援します。
経営層への報告
組織全体のプロジェクト状況を経営層に報告し、意思決定を支援します。
プロジェクトポートフォリオを管理し、組織の戦略的目標達成に貢献します。
プロジェクトのパフォーマンスを分析し、改善策を提案します。
このようにPMOが様々な角度からプロジェクト管理の標準化を推進することで、プロジェクト成功率の向上に貢献します。近年、その重要性が高まっており、多くの組織でPMOの設置や強化が進んでいます。
PMOコンサルタントとPMの違い
ここではPMOコンサルタントとPM(プロジェクトマネージャー)の違いを説明します。どちらもプロジェクトに関わる重要な役割を担うポジションですが、その専門性と役割には異なる点があります。
PMOコンサルタント
PMOの立ち上げ、運営、改善を支援する専門家
プロジェクトマネジメントに関する幅広い知識と経験を持つ
複数のプロジェクトを横断的に支援する
PM
個々のプロジェクトの計画、実行、管理を行う
特定のプロジェクトに専念する
プロジェクトチームを率いる
PMOコンサルは、PMO(Project Management Office)という組織全体の仕組みを整備・運用することで、業務の効率化と品質の向上を支援します。一方、PMは個々のプロジェクトの成功に向けて、具体的な計画や実行、管理を行います。
PMOコンサルタントとITコンサルタントの違い
次に、PMOコンサルタントとITコンサルタントの違いについて見ていきましょう。この2つはどちらもコンサルタントという職業ですが、コンサルティングの対象となる分野が異なります。
PMOコンサルタント
プロジェクトマネジメントに関する専門家
PMOの立ち上げ、運営、改善を支援する
プロジェクトの成功率を高めるための仕組みを構築する
ITコンサルタント
情報技術に関する専門家
ITシステムの導入、開発、運用を支援する
企業のIT化を推進する
PMOコンサルタントは、プロジェクトマネジメントという横断的なスキルを活かして、組織全体のプロジェクトを支援します。一方、ITコンサルタントは、IT技術という専門的な知識を活かして、ITシステムに関する課題解決を支援します。
PMOコンサルタントの役割
PMOコンサルタントは、プロジェクトの成功に貢献するスペシャリストです。プログラム及びプロジェクトの管理を支援し、全社のプロジェクトマネジメント体制を強化することでタスクの円滑な遂行と目標達成を支えます。
PMOコンサルタントの役割は、大きく3つに分類できます。
総合的なプロジェクト管理
組織が抱える全プロジェクトの進捗状況を把握・分析し、関係者へ報告・共有することでポートフォリオの全体像を把握し、社内の情報共有を徹底することで、意思決定の迅速化とプロジェクト全体の最適化を実現します。
課題の早期発見
問題が発生する前に兆候を察知し、迅速な対応策を講じることで、プロジェクトの遅延やコスト超過を防ぎます。
リスクの管理
潜在的なリスクを洗い出し、影響度と発生確率を分析した上で、適切な対策を立案・実行します。
関係者間の調整・連携
プロジェクトに関わる様々な部署やステークホルダーと関係者間の調整を行い、円滑なコミュニケーションと協力体制を構築します。
プロジェクトの標準化
最適なプロジェクトマネジメント手法やツールを導入し、組織全体で共通の基準を設けることで、プロジェクトの効率化と品質向上を図ります。
テンプレート・ドキュメントの作成・整備
プロジェクト進行に必要な各種テンプレートやドキュメントを作成・整備し、プロジェクト立ち上げから完了まで一貫したスムーズな運用を実現します。
ベストプラクティスの共有・定着
過去の成功事例やノウハウを分析し、組織全体で共有・定着させることで、プロジェクトマネジメントのレベルを底上げします。
経営層への提案
経営層に対して提案をおこなうことで、経営戦略に資するコンサルティングを実施することを期待されています。
経営層への定期的な報告
プロジェクトの進捗状況や課題、リスクなどを経営層へ定期的に報告し、経営戦略に基づいた意思決定を支援します。
投資効果の分析・評価
プロジェクトの成果を定量・定性的に分析し、投資効果を評価することで、経営層への説得力のある報告を実現します。
プロジェクトポートフォリオの管理
複数のプロジェクトを横断的に管理し、経営戦略との整合性やリソースの最適配分を検討することで、組織全体のポートフォリオマネジメントを強化します。
PMOコンサルタントは、これらの役割を担うことで、組織のプロジェクトマネジメント能力向上に寄与します。
PMOコンサルタントの仕事内容
ここでは、PMOコンサルの業務についてみていきましょう。取り組む仕事は、大きく3つに分類できます。
プロジェクト管理体制の提案
コンサルティングでは、クライアントにプロジェクトの管理体制を提案し、成功の基盤を構築します。
- 現状分析:対象となる組織のプロジェクトマネジメント体制を分析し、課題や改善点を特定します。
- プロジェクト管理体制の提案:組織の状況や目的に合致した、最適なプロジェクト管理体制を提案します。
- ガイドラインの作成:プロジェクトマネジメントに関する統一基準や管理手法、ガイドラインを作成し、組織全体で共通のルールを設けます。
- プロジェクト管理ツールの選定・導入:プロジェクトマネジメントの体制にあったツールを選定し、導入・運用を支援します。
- プロジェクトマネジメント研修の実施:プロジェクトに関わる担当者向けに、プロジェクトマネジメントに関する研修を実施します。
プロジェクト管理支援
プロジェクトを軌道に乗せるために、進捗状況を定期的にチェックし、失敗の確率を低下するよう動きます。
- プロジェクト計画のレビュー:プロジェクト計画書を作成・レビューし、抜け漏れや不備がないかを確認します。
- 進捗状況の監視・報告:プロジェクトの進捗状況を定期的に監視し、関係者へ報告することで、プロジェクト全体の状況を把握できるようにします。
- 課題管理:プロジェクト進行中に発生する課題を迅速に特定し、解決策を検討・実行します。
- 変更管理:プロジェクトスコープや計画に変更が発生した場合、関係者への影響を分析し、適切な対応を行います。
- リスク管理:リスク管理計画に基づいて、リスクの発生状況を監視し、必要に応じて対策を調整します。
- 関係者との調整:プロジェクトに関わる様々な部署や関係者間の調整を行い、円滑なコミュニケーションと協力体制を構築します。
PMの補助業務
PM(プロジェクトマネージャー)の業務を補助することで、負担を軽減し、効率化を促進します。
- プロジェクト資料の作成:プロジェクト計画書、進捗報告書、会議資料など、プロジェクトに必要な各種資料を作成します。
- 会議の運営・事務:プロジェクト関連会議の運営、議事録の作成、資料の準備などを担当します。
- ツール管理:プロジェクトマネジメントツール導入・運用に関するサポートを行います。
- 情報管理:プロジェクト関連情報の収集、整理、保管を行います。
- その他PM業務のサポート:PMが必要とする様々な業務を支援することで、PMの負担を軽減し、効率化を促進します。
PMOコンサルタントの年収
PMOコンサルタントが稼げる給料の目安はどの程度でしょうか。PMOコンサルの平均年収は、所属組織、勤務地、経験、スキル、担当プロジェクトの規模などによって異なりますが、ここでは一般的な給与の相場をみていきましょう。
会社員PMOコンサルタントの年収・給料相場
コンサルティングファームの正社員として働くPMOコンサルの年収相場は、約700〜800万円程度となります。ただし、新卒入社から3年目までの若手の社員は年収400万円〜600万円程度が相場となり、シニアコンサルタントやマネージャーになると年収1000万円を超えるケースもあります。
フリーランスPMOコンサルタントの年収・単価相場
独立してフリーランスとして働くPMOコンサルタントの場合、年収相場のレンジは会社員より上の水準で960万円~1,800万円前後となります。月額の報酬額で計算した単価としては、80万円〜150万円程が目安です。コンサルファームでの経験がない場合は、この金額よりも下がる傾向にあります。
PMOコンサルタントはきつい?それとも簡単?
PMOコンサルの仕事がきついと感じるか、楽勝と感じるかどうかは、人によって、またアサインされたプロジェクトや働く環境によっても異なってきます。
PMOコンサルタントの仕事がきついと言われる理由
PMOコンサルはしんどい、仕事がきついという感想になりがちな理由について以下で解説します。
責任が大きい
- 職業柄プロジェクト全体の成功を担うという大きな責任を負うことになります。
- プロジェクトが失敗した場合、責任を問われる可能性もあります。
プレッシャーが多い
- 常に納期や予算を守るために、厳しいスケジュールで仕事を進める必要があります。
- 上司やクライアントから厳しい要求を受けることもあります。
人間関係が複雑
- さまざまな部署の人々と連携して仕事を進めるため、人間関係のトラブルが発生しやすいです。
- 利害関係が対立することもあり、調整に苦労することがあります。
PMOコンサルタントの仕事が簡単と言われる理由
一方で、PMOコンサルは簡単な仕事で高給なためおいしいと言われることもあります。
プロジェクトや能力次第で忙しさが変わる
- 計画通りに進捗しているプロジェクトは余裕を持って働くことができます。
- スキルの向上と共に自身がコントロールできる規模が拡大します。
プロジェクトからの学びが多く、人脈をつくれる
- さまざまなプロジェクトに関わることで、人脈を作りつつ経験を積むことができます。
- 最新のマネジメント手法や技術を学ぶ機会もたくさんあります。
安定した収入
- PMOコンサルタントは需要の高い職種であり、比較的安定して高収入を得ることができます。
- 将来的にも、仕事がなくなる心配は少ないでしょう。
PMOコンサルタントはつまらない?
ネット上の評判で「PMOコンサルタントはつまらない」という声があります。実際のところPMOコンサルの仕事がつまらないかどうかは、個人の性格や価値観によって大きく異なってきます。
PMOコンサルがつまらないと感じやすい人とそうではない人とでは以下のような点で傾向に違いがみられます。
PMOコンサルの仕事が「つまらない」と感じやすい人
- 目立つことが好きで、華やかな仕事をしたい人
- 常に新しいことに挑戦したい人
- 即効性の高い成果を求める人
- 裁量権や責任のある仕事をしたい人
PMOコンサルの仕事が「 つまらない 」と感じにくい人
- コツコツと確実に仕事をこなすことが得意な人
- 周囲と協調しながら仕事に取り組みたい人
- 将来的にプロジェクトマネジメントのスペシャリストになりたい人
- 裏方として、プロジェクトの成功を支えることにやりがいを感じる人
PMOコンサルタントになるメリット
PMOコンサルになることは、「幅広いプロジェクト経験の獲得」「マネジメントスキルの習得」そして「組織内での人脈作り」という、キャリアアップにつながる3つの大きなメリットがあります。
以下では、それぞれのメリットについて詳しく説明します。
幅広いプロジェクト経験の獲得
PMOコンサルタントは、様々な業界、規模、種類のプロジェクトに関わることになります。そのため、短期間で幅広いプロジェクト経験を積むことができます。これは、将来的にプロジェクトマネージャーやITコンサルタントを目指す場合などに役立つ経験となります。
具体的には、以下のようなプロジェクトに関わる可能性があります。
- システム刷新プロジェクト
- 新規事業・新商品開発
- マーケティングプロジェクト
- 組織改革プロジェクト
- M&Aプロジェクト
マネジメントスキルの習得
PMOコンサルタントは、プロジェクトの計画、実行、管理、評価に関わる様々なスキルを習得することができます。
具体的には、以下のようなスキルが挙げられます。
- プロジェクトマネジメント:プロジェクトの全体像を把握し、計画、実行、管理、評価を円滑に進めるスキル
- コミュニケーションスキル:チームメンバーや関係者と効果的にコミュニケーションを取るスキル
- 問題解決:プロジェクトの進行中に発生する問題を迅速かつ効果的に解決するスキル
- リスクマネジメント:プロジェクトの潜在的なリスクを特定し、対策を講じるスキル
- リーダーシップ:チームをまとめ、目標達成に向けて導くスキル
これらのスキルは、PMOコンサルタントの仕事だけでなく、様々な場面で役立つスキルです。
組織内外での人脈作り
PMOコンサルタントは、プロジェクトに関わる様々な部署の人々と接することになります。そのため、組織内外で人脈を築くことができます。これは、社内でのキャリアアップや、転職活動、独立後の案件獲得などに有利に働く可能性があります。
具体的には、以下のような人々と人脈を築くことができます。
- 経営層:プロジェクトの進捗状況を報告したり、経営層からの指示を受けたりする機会があります。
- 各部署の担当者:プロジェクトに必要な情報や協力を各部署の担当者から得る必要があります。
- 外部の関係者:クライアントやベンダーなど、プロジェクトに関わる外部の関係者と連携する必要があります。
PMOコンサルになることは、プロジェクト経験の獲得、マネジメントスキルの習得、そして組織内での人脈作りという、キャリアアップにつながる3つの大きなメリットがあります。これらのメリットを活かして、自身のキャリアを築きたい方にとって、PMOコンサルタントは魅力的な職業と言えるでしょう。
PMOコンサルタントになるデメリット
PMOコンサルになることには、プロジェクト経験の獲得、マネジメントスキルの習得、組織内での人脈作りといったメリットがある一方で、「管理系の業務が中心であること」と、「携わる業務内容が偏りがちであること」といったデメリットも存在します。
以下では、それぞれのデメリットについて詳しく説明します。
管理系の業務が中心
PMOコンサルの仕事は、プロジェクトの計画、実行、管理、評価に関わる様々なタスクを遂行することです。しかし、その中でも特に管理系の業務に重きが置かれているのが特徴です。具体的には、以下のような業務が挙げられます。
- 進捗管理:プロジェクトの進捗状況を監視し、関係者に報告する
- リスク管理:プロジェクトの潜在的なリスクを特定し、対策を講じる
- 変更管理:プロジェクトの変更を管理し、関係者に影響を伝える
- 文書管理:プロジェクト関連の文書を作成、管理する
これらの業務は、プロジェクトの円滑な遂行に不可欠なものです。しかし、一方で事務作業的な側面が強く、創造性を発揮できる場面が少ないという声もあります。
携わる業務内容が偏りがち
PMOコンサルタントは、担当するプロジェクトによって携わる領域や分野が異なる場合も珍しくありません。しかし、チーム内での役回りとしては、どれも同じようなプロジェクト支援業務を担当することが多くなります。そのため、特定の業界や業務に関する専門知識が身につきにくいというデメリットがあります。
また、プロジェクトのフェーズによっても、担当する業務内容が大きく変化します。プロジェクト初期には計画や準備に関する業務に重点が置かれ、プロジェクト後半には進捗管理やリスク管理に関する業務に重点が置かれるといった具合です。新卒で入社した場合など、経験が少ないうちは仕事に慣れるまでに時間がかかるというデメリットもあります。
ここまで説明したようにPMOコンサルタントになることにはデメリットも存在します。これらのメリデメを理解した上で、自分に合っているかどうかを判断することが重要です。
PMOコンサルの仕事に興味がある場合は、実際にPMOとして業務に携わっている人に話を聞いてみることをおすすめします。そうすることで、仕事の実態についてより詳しく知ることができますし、自分がその職業に向いているかどうかを判断することができます。
PMOコンサルタントに求められるスキル
ここからはPMOコンサルとして備えておきたい必須のスキルセットについて説明します。
プロジェクトマネジメントの知識
PM手法・ツールの理解
PMOコンサルタントは、ウォーターフォール、アジャイル、ハイブリッドなど、様々なプロジェクトマネジメント手法やツールの知識を有し、状況に応じて適切な手法を選択できる必要があります。
プロジェクトマネジメントの標準
PMBOKガイドやPRINCE2など、プロジェクトマネジメントの標準規格に関する理解も必要です。
PMBOKガイド
PMBOKガイドは、Project Management Institute(PMI)が発行するプロジェクトマネジメントの標準です。世界中で最も広く利用されており、プロジェクトマネジメントの知識体系(PMBOK)を定義しています。PMBOKガイドは、プロジェクトマネジメントの10個の知識領域と、それぞれの知識領域に関連するプロセス、ツール、テクニックを体系的にまとめたものです。
PRINCE2
PRINCE2は、英国政府機関であるOffice of Government Commerce(OGC)が策定したプロジェクトマネジメントの標準です。英国を中心に、欧州で広く利用されています。PRINCE2は、プロジェクトマネジメントの7つの原則と、7つのテーマ、7つのプロセスに基づいたフレームワークを提供しています。
プロジェクトマネジメントのベストプラクティス
過去のプロジェクトの成功事例や失敗事例から得られた教訓に基づいた、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスを熟知している必要があります。
コミュニケーションスキル
- 関係者とのコミュニケーション:PMOコンサルタントは、プロジェクト関係者(経営層、プロジェクトマネージャー、チームメンバー、顧客など)と効果的にコミュニケーションを取ることが重要です。
- アクティブリスニング:関係者の意見や懸念事項をしっかりと聞き取り、理解する能力が必要です。
- プレゼンテーション:プロジェクトの進捗状況や課題を関係者にわかりやすく伝えるプレゼンテーション能力も必要です。
マルチタスクスキル
- 複数のプロジェクトを同時進行:PMOコンサルタントは、複数のプロジェクトを同時に担当することが多くあります。限られた時間の中で、複数のタスクを効率的に処理するマルチタスクスキルが必要です。
- 優先順位付け:重要度や緊急度に応じて、タスクの優先順位を付け、適切なタイミングで処理することが重要です。
- タイムマネジメント:限られた時間の中で、最大限の成果を出すためのタイムマネジメントスキルも必要です。
ドキュメント作成
- プロジェクト文書の作成:プロジェクト計画書、進捗報告書、リスク管理計画書など、様々なプロジェクト文書を作成する必要があります。
- わかりやすい文章:関係者が理解しやすい、簡潔でわかりやすい文章を書く能力が必要です。
- 文書管理:作成した文書を適切に管理し、関係者が必要なときにすぐにアクセスできるようにする必要があります。
上記4つのスキルに加え、PMOコンサルタントには、以下のようなスキルも求められます。
- 問題解決能力:プロジェクトの進行中に発生する問題を迅速かつ効果的に解決する能力が必要です。
- 分析力:プロジェクトデータを分析し、そこから問題点や改善点を発見する能力が必要です。
- 適応力:変化する環境に柔軟に対応し、新しい状況に合わせて迅速に対応できる能力が必要です。
- リーダーシップ:プロジェクトチームをまとめ、プロジェクトを成功に導くリーダーシップが必要です。
これらのスキルを磨き、プロジェクトマネジメントの知識と経験を活かすことで、PMOコンサルとして活躍することができます。
PMOコンサルタントに役立つ資格
PMOコンサルタントとして活躍するためには、プロジェクト運営に対する専門知識とスキルが求められます。その証明手段の一つとして、PMOスペシャリスト認定資格やプロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格などの資格取得が有効です。
プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格
一般社団法人日本PMO協会(NPMO)が主催するエントリーレベルの資格試験です。プロジェクトマネジメントの基礎知識を体系的に学べる内容となっており、PMO業務に携わる第一歩として最適です。日本PMO協会の提供する他の資格を受験する際の条件にも指定されています。eラーニング(約7.5時間)で講義の受講と自己学習(約20~40時間)での勉強を行ったあとに、オンライン試験で受験が可能なため、空き時間を有効活用できます。
PMOスペシャリスト認定資格
こちらも、一般社団法人日本PMO協会(NPMO)が主催する、PMOが現場業務において習得すべき知識を確認し、スペシャリストとしての専門性を証明する資格です。プロジェクトマネジメントの実務経験と、PMOに関する高度な知識・スキルを必要とします。受験にはプロジェクトマネジメント関連の資格取得と教材での学習修了が必要となります。試験問題数は50問、試験時間は90分です。オンラインでの受験が可能な資格です。
PMOコンサルとしてキャリアをスタートしたい場合は、プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格から取得することをおすすめします。その後、実務経験を積みながら、PMOスペシャリスト認定資格の取得を目指すのが効果的です。
PMOコンサルタントに向いている人材像
PMOコンサル向きの人とはどのような人なのでしょうか。以下で解説します。
傾聴力がある
プロジェクト関係者の声に耳を傾け、共感を示せる
- チームメンバーやクライアントの抱える課題や懸念事項を丁寧に引き出し、共感を示すことで、信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを促進することができます。
- 傾聴力が高いPMOコンサルタントは、プロジェクト関係者にとって安心感を与え、問題解決に向けた協働を促進することができます。
アクティブリスニングを意識し、非言語情報にも注意を払う
- 単に話を聞くだけでなく、相手の表情や声のトーン、仕草など、非言語情報からも情報を汲み取ることで、より深い理解を得ることができます。
- アクティブリスニングは、誤解を防ぎ、的確なサポートを提供するために重要です。
当事者意識が高い
プロジェクトの成功を自らのことのように考え、主体的に行動できる
- 単なる指示待ちではなく、自ら考え、行動することで、プロジェクトを成功に導くことができます。
- 当事者意識の高いPMOコンサルタントは、問題が発生した際にも迅速かつ柔軟に対応することができます。
プロジェクト全体を見渡し、俯瞰的に考えることができる
- 個々のタスクに囚われることなく、プロジェクト全体を俯瞰的に捉え、進捗状況や課題を分析することができます。
- 当事者意識を持つことで、より効果的なサポートを提供することができます。
分析が得意
プロジェクトデータを収集・分析し、課題を特定できる
- 進捗状況、コスト、品質、リスクなどのデータを収集・分析することで、プロジェクトの現状を正確に把握することができます。
- 分析力が高いPMOコンサルタントは、データに基づいた意思決定を支援することができます。
課題解決に向けた具体的な提案ができる
- 分析結果に基づき、プロジェクトの改善点や課題解決に向けた具体的な提案を行うことができます。
- ロジカルシンキングに基づいた提案は、関係者を説得し、実行を促すことができます。
PMOコンサルタントの将来性
PMOコンサルタントは、近年コンサル業界に留まらず、ユーザー企業においても、注目度が高まっている専門職種です。その背景には、プロジェクトマネジメントの重要性が高まっていることと、PMOやプロジェクト経験者の人材不足があります。
PMO経験者の人材不足
PMO(Project Management Office)は、高度な専門知識と経験を必要とする職種です。そのため育成に時間がかかり、市場に供給される数は多くありません。しかし、DX推進などの影響から企業のプロジェクト需要が高まっており、プロジェクトマネジメントに関する知識や経験を持つ人材の不足が深刻化しています。
経済産業省の調査によると、2025年にはIT人材が最大58.4万人不足すると予測されており、その中でもPMO人材は特に不足していると言われています。
PMOコンサルタントの採用動向
プロジェクト管理を標準化できるPMO人材のニーズが高まるなか、企業は積極的にPMOコンサルタントを採用しており、人材獲得競争が激化しています。PMOコンサルタントの年収相場は約700万円と、高収入な点が魅力です。ITプロジェクトに従事した経験を持つSEや開発者であれば、選考の通過率も高く、外資系企業への転職による年収アップやコンサル業界へのキャリアチェンジが狙える点も人気の理由です。
プロジェクトの需要と共にPMOコンサルの需要も高まる
今後もプロジェクトの需要が拡大をつづけることで、PMOコンサルの需要は高まると考えられています。
経営環境の変化
VUCA時代と呼ばれ、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が特徴の現代社会において、企業は変化に迅速に対応するために、新しい事業やサービスを立ち上げる必要性が高まっています。
イノベーションの創出
競争力を維持するために、イノベーションの創出が求められています。新機軸を打ち出し、新たな製品・サービスを創出するには、従来とは異なる発想や手法が必要であり、そのためにビジネスデザインが有効な手段となります。
顧客ニーズの多様化
時代の変化とともに顧客のニーズはますます多様化しており、こうした状況に迅速に対応するために、よりスピーディーで柔軟な意思決定をおこなえるよう組織体制のブラッシュアップが求められています。
まとめ
本記事では、PMOコンサルタントという職業について様々な切り口から解説しました。コンサルファーム志望の新卒学生からはやや不人気なPMOコンサルですが、人材不足と需要の高まりにより、将来性が高く、キャリアアップに最適な職種と言えます。
また、IT業界でプロジェクトマネジメントに関わる方、異職種からコンサルタントへのキャリアアップを目指している方にとっても、PMOコンサルタントは魅力的な職業選択肢となるでしょう。
本記事を通して、PMOコンサルタントという専門職の魅力を存分に感じた方は、キャリアプランの選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
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