公認会計士の資格を活かして、本業以外に収入を得たいと考える方は少なくありません。働き方の選択肢が増加する中、週に1～2日程度、土日を活用して在宅でできる仕事への関心が高まっています。一方で「監査法人に所属しながら副業できるの？」という疑問は、多くの方が抱く自然な問いでしょう。
結論から言えば、監査法人の公認会計士といえども、適切な案件を選べば副業は可能です。会計や税務の知識、財務分析のスキルなどは、多くの企業や個人が求めているため、条件の良い在宅ワークの求人案件も見つけやすい傾向にあります。
この記事では、公認会計士が副業でどのような仕事を受注できるのか、そして条件に合った求人案件を効率的に探すための具体的な方法について解説していきます。副業を始めるにあたっての注意点や、成功するためのポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
公認会計士は副業出来る？
公認会計士として働きながら副業を行うことは可能なのでしょうか。以下で解説します。
公認会計士の副業は可能
公認会計士の資格を持つ方が副業を行うことは、法的には特に禁止されていません。専門的な知識やスキルは、監査業務以外にも多岐にわたる分野で求められており、その能力を活かせる機会は豊富に存在します。例えば、企業の会計顧問や財務コンサルティング、セミナー講師、執筆活動などが考えられます。また、近年では働き方の多様化が進んでおり、公認会計士としての経験を活かしつつ、自身の興味やキャリアプランに合わせた活動を行うことが、より現実的な選択肢となりつつあります。ただし、副業を行う際には、本業である監査業務に支障が出ないよう、時間管理や体力面での配慮が不可欠です。また、所属する組織によっては、副業に関する規定が存在する場合があるため、事前に確認することが重要となります。自身のスキルアップや収入増に繋がる可能性がある一方で、責任と両立への意識が求められるのが公認会計士の副業と言えるでしょう。
BIG4など大手監査法人では認められない職場が多い
大手監査法人においては、監査業務の独立性や客観性を厳格に保つ観点から、原則として公認会計士としての副業は禁止されているケースが多いです。監査法人は、企業の財務状況を公正に評価する責任を負っており、その過程で外部からの影響や利害関係が生じることを極力避ける必要があります。副業を行うことで、監査業務への集中が妨げられたり、クライアントとの間で潜在的な利益相反が生じたりするリスクが懸念されるためです。また、大手監査法人に所属する公認会計士は、高度な専門知識と責任が求められる監査業務に専念することが期待されており、就業規則においても副業を制限する条項が設けられていることが一般的です。したがって、BIG4をはじめとする大手監査法人で働く公認会計士が副業を検討する際には、事前に所属法人の就業規則を十分に確認し、必要であれば上司や人事部門に相談することが必要となります。
中小監査法人では副業を認める職場も増えている
近年、中小規模の監査法人においては、所属する公認会計士の副業を認める動きが徐々に広がってきています。背景には、人材の多様な働き方を支援し、優秀な人材を確保・定着させたいという意向があります。また、公認会計士個人のスキルアップやキャリア形成を支援する観点からも、副業を容認するメリットが認識されつつあります。中小監査法人では、大手監査法人と比較して業務の範囲や規模が異なる場合が多く、本業への影響が少ない範囲であれば、柔軟に副業を認めることができると考えられます。例えば、非常勤での講師やコンサルティング業務、執筆活動などが考えられます。ただし、副業を認める場合でも、監査業務の独立性や客観性を損なわないためのルールや手続きが設けられていることが一般的です。副業を希望する公認会計士は、所属法人に事前に申請し、許可を得る必要があります。
副業マッチングの仕組み
本業で培った専門知識やスキルを活かしたい個人と、それを求める企業や個人を結びつける「副業マッチングの仕組み」が登場しています。これは、インターネット上のプラットフォームや、人材紹介サービスの一環として提供されることが多いです。公認会計士としてのスキルや経験、希望する働き方などを登録することで、企業からの会計顧問や税務相談、財務分析といった業務委託の求人案件を探すことができます。一方、企業側は、必要な時に必要なスキルを持つ公認会計士に業務を委託することが可能となり、柔軟な人材活用に繋がります。
これらのマッチングプラットフォームでは、案件の内容だけでなく、報酬や契約期間なども提示されるため、双方が納得した上で業務を開始することができます。また、評価システムなどを通じて、信頼できるパートナーを見つけやすいというメリットもあります。
このような副業マッチングの仕組みは、公認会計士にとって新たな収入源やキャリアの可能性を広げるだけでなく、企業にとっても専門的な知識を手軽に活用できる有効な手段となっています。
公認会計士におすすめの副業
公認会計士におすすめの副業についてみていきましょう。
会計や税務のサポート
公認会計士の専門知識を直接的に活かせる副業として、企業の会計や税務に関するサポート業務は非常に適しています。中小企業やスタートアップ企業など、常勤の経理担当者を置くほどの規模ではないものの、専門的な知識を必要とする企業にとって、公認会計士のサポートは大きな助けとなります。具体的には、月次・年次の会計処理のレビューや指導、税務申告書の作成補助、税務相談などが挙げられます。これらの業務は、公認会計士が培ってきた会計基準や税法に関する深い理解を活かすことができ、企業の適正な会計処理や税務コンプライアンスの維持に貢献できます。また、顧問契約という形で継続的に関わることで、安定した収入を得ることも可能です。企業の成長を間近で見守り、その一翼を担うことができるため、やりがいも感じられるでしょう。オンラインでのサポートも可能なため、時間や場所にとらわれずに働くことができるのも魅力の一つです。
開示書類のチェック業務
上場企業などが作成する財務諸表や事業報告書といった開示書類は、投資家や株主にとって重要な情報源です。これらの書類の正確性や適法性を確保するためには、高度な会計知識と監査の視点が求められます。公認会計士は、監査業務で培った経験と専門知識を活かし、企業の作成した開示書類のチェック業務を副業として行うことができます。具体的には、財務諸表の勘定科目の妥当性、注記事項の適切性、会計基準に準拠しているかなどを詳細に確認します。また、企業の業績や財政状態を分析し、開示情報が投資判断に必要な情報を提供しているかという視点も重要となります。この業務は、監査法人に所属している公認会計士はもちろん、独立開業している公認会計士にとっても、その専門性を活かせる貴重な機会となります。企業の信頼性を高めることに貢献できる、責任とやりがいのある仕事と言えるでしょう。
社外CFO
近年注目されている働き方の一つに、社外CFO（最高財務責任者）という形態があります。これは、企業に常勤のCFOを置くほどの規模ではないものの、財務戦略や資金調達、経営管理体制の構築など、高度な財務知識や経営視点を必要とする企業に対して、非常勤の立場でCFOの役割を担うものです。公認会計士は、財務会計、管理会計、税務、資金調達など、幅広い知識と経験を有しているため、社外CFOとして企業の成長戦略策定や意思決定をサポートすることができます。具体的には、事業計画の財務面からの評価、資金調達計画の立案、予算管理体制の構築、投資判断のサポートなどを行います。経営陣の一員として、企業の持続的な成長に貢献できるため、非常にやりがいのある仕事です。スタートアップ企業や中小企業を中心にニーズが高まっており、公認会計士の専門性と経営感覚を活かせる魅力的な副業と言えるでしょう。
公認会計士試験の受験指導
公認会計士を目指す受験生にとって、合格への道のりは長く険しいものです。その過程で、実際に公認会計士の資格を持ち、難関を突破した経験を持つ人のアドバイスや指導は非常に貴重です。公認会計士は、自身の受験経験や学習方法、試験対策のノウハウなどを活かし、予備校や大学などの対策講座を通じて受験指導を行うことができます。具体的には、講義、個別指導、模試の解説、学習計画の作成サポートなどがあります。受験生の疑問や不安に寄り添い、合格に向けて具体的なアドバイスを送ることで、感謝されることも多く、自身の知識の再確認にも繋がります。また、近年ではオンラインでの指導も普及しており、時間や場所にとらわれずに活動することができます。自身の経験を次世代の公認会計士育成に役立てることができる、社会貢献性の高い副業と言えるでしょう。
執筆業
公認会計士の持つ専門知識や経験は、書籍や記事といった形で広く社会に発信することができます。会計、税務、財務に関するテーマは、ビジネスパーソンだけでなく、一般の人々にとっても関心の高い分野であり、正確で分かりやすい情報提供が求められています。公認会計士は、自身の専門性を活かし、これらのテーマに関する書籍の執筆や、ビジネス雑誌、ウェブサイトへの記事寄稿などを副業として行うことができます。執筆活動を通じて、自身の知識を整理し、より深く理解することができるだけでなく、社会的な信用を高めることにも繋がります。また、書籍の印税や記事の原稿料といった収入を得ることも可能です。近年では、ブログやSNSなどを活用して、自身の意見や知識を発信するハードルも低くなっており、より手軽に執筆活動を始めることができます。自身の専門性を活かし、情報発信を通じて社会に貢献したいと考える公認会計士にとって、魅力的な副業の一つと言えるでしょう。
公認会計士の副業を探す方法
週1-2日、土日稼働、在宅ワークなど公認会計士の副業案件の探し方についてみていきましょう。
エージェント
公認会計士の専門知識やスキルを活かした副業を探す上で、エージェントの活用は効率的な手段の一つと言えるでしょう。会計・税務分野の案件を扱うエージェントは、一般には公開されていない非公開案件を保有している可能性があり、自身のスキルや経験、希望条件に合致する副業を紹介してもらえることがあります。エージェントとの面談を通じて、キャリアプランや副業に対する希望を伝えることで、よりパーソナライズされた案件の提案が期待できます。
また、契約条件の交渉や事務手続きのサポートを受けられる場合もあり、安心して副業を始めるための心強い味方となるでしょう。ただし、エージェントによっては登録や利用に際して条件がある場合や、紹介料が発生する可能性があるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。複数のエージェントに登録し、比較検討することで、より良い副業の機会を見つけられる可能性が高まります。
クラウドソーシング
近年、多様な働き方が広がる中で、クラウドソーシングプラットフォームは、本業と並行して自身のスキルを活かせる副業を見つけるための新たな選択肢として注目されています。これらのプラットフォームには、記帳代行、税務相談、財務分析、資料作成など、会計・税務関連の様々な案件が掲載されており、時間や場所にとらわれずに仕事に取り組むことが可能です。自身のスキルや経験に合わせて案件を選べるだけでなく、実績を積み重ねることで、より高単価な案件を獲得するチャンスも広がります。
ただし、クラウドソーシングプラットフォームには多数の登録者がいるため、競争が激しい場合もあります。そのため、自身の強みを明確にアピールできるプロフィールの作成や、丁寧な提案文の作成が重要となります。また、報酬や契約条件、納期などをしっかりと確認し、トラブルを避けるための注意も必要です。
知り合いからの紹介
公認会計士が副業を探す上で、意外と見逃せないのが、同僚や先輩、友人といった知り合いからの紹介です。日頃から自身のスキルや専門性を理解してくれている人からの紹介は、自身の強みを活かせる可能性が高く、信頼関係があるため安心して仕事に取り組めるというメリットがあります。また、紹介者を通じて、クライアントの雰囲気や仕事内容、報酬などを事前に詳しく聞くことができるため、ミスマッチを防ぐことにも繋がります。
積極的に人脈を広げ、日頃から良好な関係を築いておくことが、良質な副業の機会に繋がる可能性があります。もし、興味のある分野や働き方があれば、積極的に周りの人に相談してみることをお勧めします。思わぬところから、理想的な副業の機会が舞い込んでくるかもしれません。
公認会計士の副業におすすめのエージェント
公認会計士の副業探しにおすすめのエージェントを紹介します。
ハイパフォコンサル
ハイパフォコンサルは、公認会計士の専門性と経験を活かせる高単価の案件を豊富に扱っています。企業の戦略策定や業務改善、M&A関連のコンサルティングなど、高度な知識や分析力が求められる案件が多い点が特徴です。登録者のスキルや希望に応じて、最適なプロジェクトを提案する丁寧なマッチングサポートも魅力と言えるでしょう。時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現し、本業で培った知見をさらに深めながら、収入アップを目指す公認会計士にとって、有力な選択肢の一つとなるはずです。
フリーコンサルタント.jp
フリーコンサルタント.jpは、多様な業界や規模の企業から寄せられるコンサルティング案件を掲載しており、公認会計士の幅広いスキルに対応できる可能性があります。財務会計、管理会計、内部監査といった専門分野はもちろん、IPO支援や事業承継など、より専門性の高い案件も見られます。自ら案件を検索し応募する形式が中心となるため、主体的に副業を進めたい公認会計士に向いています。自身の経験や強みを活かせるプロジェクトを見つけ、キャリアの幅を広げるきっかけとなるでしょう。
コンサルデータバンク
コンサルデータバンクは、コンサルタント向けの案件情報が集約されたプラットフォームであり、公認会計士の資格を持つプロフェッショナルも多数登録しています。短期・単発のスポットコンサルから、数ヶ月にわたるプロジェクトまで、様々な期間や内容の案件が見られます。企業の課題解決に貢献することで、専門知識を実践的に活用し、新たなスキルや人脈を構築する機会を得られるでしょう。自身のライフスタイルや目標に合わせて案件を選択できるため、効率的に副業に取り組みたい公認会計士にとって有用なサービスと言えます。
公認会計士が副業をするメリット
公認会計士が副業をするメリットについてみていきましょう。
収入アップ
公認会計士が副業に取り組むことは、経済的な恩恵を大きくもたらします。本業からの給与に加えて、副業による収入が加わることで、家計の安定化や生活水準の向上が期待できます。例えば、会計や税務に関する知識を活かしたコンサルティング業務や、セミナー講師、執筆活動などが考えられます。これらの副業は、時間や場所に縛られない柔軟な働き方が可能な場合が多く、本業とのバランスを取りやすいという利点もあります。また、スキルアップにも繋がり、本業においても新たな視点や知識を活かすことができるでしょう。収入の増加は、将来設計においても選択肢を広げ、経済的な安心感をもたらす大きなメリットと言えます。
人脈を増やせる
副業を通じて、公認会計士は本業だけでは出会えない多様な人々との繋がりを築くことができます。異なる業界の経営者や担当者、あるいは新たなビジネスパートナー候補との出会いは、自身の視野を広げ、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。例えば、コンサルティング業務を通じて様々な企業の内部に入り込むことで、その業界特有の課題やニーズを肌で感じることができます。また、セミナー講師や執筆活動を通じて、専門分野に関心を持つ人々との交流が生まれ、共感や刺激を受けることも少なくありません。これらの人脈は、将来的なキャリアアップや独立開業の際に、強力な支えとなるでしょう。
独立の準備
将来的な独立を視野に入れている公認会計士にとって、副業はまさに実践的な準備期間となります。副業を通じて、顧客開拓の方法、契約交渉、請求業務、そして何よりも自身のサービスの提供を通じて、独立に必要なビジネススキルを磨くことができます。例えば、小規模なコンサルティング案件をこなす中で、顧客との信頼関係を築き、リピートに繋げる経験は、独立後の事業運営において非常に貴重な財産となります。また、副業での成功体験は、独立への自信を高め、精神的な準備にも繋がります。リスクを抑えながら、自身のビジネスモデルを試行錯誤できる副業は、独立という目標を着実に近づけるための有効な手段と言えるでしょう。
公認会計士が副業をする際の注意点
公認会計士が副業をする際の注意点について解説します。
就業規則を確認し副業の許可を取る
公認会計士が副業を始めるにあたっては、まず所属する監査法人や企業における就業規則を詳細に確認するようにしましょう。多くの組織では、従業員の副業に関して何らかの規定を設けており、事前の申請や許可が必要となるケースが一般的です。無許可で副業を行った場合、懲戒処分の対象となる可能性も否定できません。したがって、副業を検討する初期段階で、組織の人事部門や関連部署に相談し、正式な手続きを確認し、必要な許可を得ることが重要なステップとなります。就業規則に副業に関する明確な記載がない場合でも、念のため上長や担当部署に相談しておくことで、後々のトラブルを避けることができるでしょう。許可を得る際には、副業の内容や就業時間などが本業に支障をきたさないことを具体的に説明する必要がある場合もあります。
本業に支障が出ないよう注意する
公認会計士としての本業は、高度な専門知識と責任を伴う業務であり、その遂行には十分な時間と集中力が必要です。副業を行う際には、本業の業務時間や質を損なうことのないよう、細心の注意を払う必要があります。例えば、副業の業務時間が深夜に及んだり、休日を完全に副業に費やしたりすることで、本業に支障をきたすような事態は避けるべきです。体調管理をしっかりと行い、常に万全の状態で本業に臨めるよう、副業のスケジュールや業務量を適切に調整することが求められます。また、副業の内容によっては、本業で得た知識や経験を直接的に活用することが考えられますが、その際には情報漏洩や競業避止義務に抵触しないよう、十分な配慮が必要です。
独立性を確保する
公認会計士は、その業務の性質上、常に職業倫理と独立性を厳格に遵守することが求められます。副業を行う場合においても、この独立性を損なうような事態は絶対に避けなければなりません。例えば、監査業務を担当しているクライアントやその関連会社からの依頼で副業を行うことは、監査の独立性を大きく損なう可能性があり、倫理規定に抵触する行為と言えます。また、税務顧問やコンサルティング業務を副業とする場合でも、本業における監査業務との間で利益相反が生じないよう、慎重に判断する必要があります。副業の内容によっては、公認会計士としての資格を明らかにしない、あるいは本業とは異なる名義を用いるなどの対策を講じることも検討すべきでしょう。常に客観的な立場を維持し、公正な判断を損なうことのないよう、高い倫理観を持って副業に取り組むことが重要です。
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