HubSpotの導入企業が増えているけれど、自分もフリーランスとして独立できるのだろうか、副業から始めてゆくゆくは独立した働き方にシフトしたいと悩んでいませんか。BtoBマーケティングや営業活動の基盤としてHubSpotを導入する企業が急増している現在、その運用や設定を支える専門人材の需要は高まり続けています。
しかし、ツールの基本操作ができるだけでは、数あるフリーランスの中から選ばれ続けることは難しく、確かな実務経験と戦略的なアプローチが求められます。企業が求めているのは、単なる作業の代行者ではなく、実際のビジネスの課題を汲み取りながら最適なシステム設計や運用プロセスを提案できるパートナーです。
この記事では、HubSpotのスキルを活かしてフリーランスとして独立するために必要な経験や、具体的な案件の探し方、そして継続的に収益を上げていくためのポイントを順を追って解説します。これから独立を目指す方が、どのようなステップを踏んでキャリアを築いていけばよいのか、その具体的な道筋を確認していきましょう。
HubSpotのフリーランスになれる?
就職して働きながらHubSpotの実績を積めば、個人事業主や一人法人で独立してフリーランスとして活躍することはできるのでしょうか。市場環境、案件紹介サービス、収益アップの仕組みについて紹介します。
どの程度経験を積めば独立できる?
HubSpotを活用してフリーランスとして独立するためには、ツールの一部の機能を使えるだけでなく、ビジネスの仕組みに合わせた全体の設計ができるレベルの経験が求められます。
具体的な目安としては、企業内でマーケティングや営業の支援ツールとしてHubSpotを2年から3年程度集中的に運用した経験が一つの基準となります。
Marketing HubやSales Hubといった複数のモジュールを組み合わせて運用した実績や、初期の環境構築から携わった経験があると案件を獲得しやすくなります。単にメールを配信したり顧客データを入力したりする作業にとどまらず、企業の業務フローを整理して自動化の仕組みであるワークフローを設計した経験が評価されます。
さらに、クライアント企業の社内メンバーがスムーズにツールを使いこなせるようにマニュアルを作成したり、実務のトレーニングを先導したりした経験も現場での信頼につながるでしょう。自社の課題を解決した経験だけでなく、複数の異なる業種や組織規模での導入支援に関わった実績があると、独立後の多様な案件にも柔軟に対応できるようになります。
案件マッチングの活用
独立初期や副業からスタートする段階では、フリーランス向けの案件マッチングサイトや専門のエージェントを活用することが仕事探しにおいて有効な手段となります。近年のDX推進の背景もあり、ITやマーケティング領域の案件を扱うマッチングサービスではHubSpotのスキルを持つ人材を求める案件も掲載されています。
活用する際のポイントは、プロフィールや経歴書に対応可能な製品ラインや過去の具体的な実績を記述しておくことです。どのようなビジネス課題に対して、どの機能をどう設定し、結果として組織の効率化や成果にどう貢献したかを記載すると、企業の担当者の目に留まりやすくなります。週に数時間程度から参画できる副業型の案件に応募し、クライアントとの信頼関係を構築しながら実績を積み重ねていく方法もおすすめです。
マッチングサービスを通じて複数の案件をこなすことで、市場で求められている実務の傾向や自身の適正な報酬単価を客観的に把握できるようになります。良好な関係を築けたクライアントからは、契約の延長や別の開発プロジェクトの紹介といった次の機会につながる可能性も広がります。
稼ぐためのポイント
フリーランスとして安定した収入を得て報酬単価を上げていくためには、指示された作業をこなす代行業務から脱却し、提案型の支援を行う必要があります。企業の経営課題や営業プロセスのボトルネックを可視化し、それを解決するための要件定義や全体設計といった上流工程からプロジェクトに参画することが効果的です。
また、HubSpotの知識だけでなく、周辺のデジタルマーケティングに関する知見や、外部のシステムとデータを連携させる技術的なスキルを掛け合わせることで市場価値が高まります。例えば、Web解析ツールや広告運用の成果データを統合してダッシュボードで視覚化する仕組みを作れる人材は重宝されます。
さらに、ツールの設定を完了させて終わりにするのではなく、クライアントの現場に運用が定着するまでの伴走支援を組み込んだプランを提案することも重要です。継続的な運用の改善やデータ分析の支援を行うことで、単発の契約ではなく月額固定での安定した長期契約を獲得しやすくなります。
フリーランスが参画するHubSpot案件の現状
HubSpotのフリーランスが参画する業務委託案件で「期待される役割」「求められるスキル」 「稼働スタイル」「報酬の単価相場」を紹介します。
フリーランスのHubSpot技術者に期待される役割
企業がフリーランスのHubSpot技術者に求める役割は、管理画面を操作して設定を行う作業者としての枠組みにとどまりません。依頼主の多くは、ツールを導入したものの社内に活用ノウハウがなく、データが散在したり営業活動に活かせなかったりする課題を抱えています。こうした状況において、外部の専門家は企業の営業プロセスやマーケティング戦略を理解し、それをシステム上に再現する構築者としての役割を担います。
また、組織内の異なる部門間、例えばマーケティング部門と営業部門の間で生じるデータの分断を解消し、一気通貫した顧客管理の基盤を整えることも期待されます。外部のリソースであるからこそ、社内の慣習にとらわれずに業務フローの無駄を指摘し、効率的な運用方法を提案できる第三者としての視点も重要視されます。
最終的には、フリーランスがプロジェクトから離れた後も自社メンバーだけで運用を継続できるように、運用のルールを標準化することが求められるケースもあります。その場合は、マニュアルの作成や社内研修を通じて内製化を推進する教育者としての役割までを総合的に支援することが、フリーランスに期待される主要な動きと言えるでしょう。
業務委託のHubSpot案件で求められるスキル
HubSpotの案件において成果を出すためには、製品の標準的な機能を網羅的に把握しているだけでは不十分であり、複数の専門的なスキルが求められます。基礎となるのは、Marketing HubやSales Hubといった主要なモジュールの仕様を深く理解し、企業のビジネスモデルに合わせて顧客情報を管理するためのプロパティを適切に設計する能力です。
これに加えて、散在している顧客データを整理して統合するデータクレンジング(データの重複排除や表記ゆれの修正)のスキルや、複雑なセグメントを作成するためのリスト設計能力が必要となります。業務の効率化を図るために、条件分岐を取り入れた高度な自動化の仕組みであるワークフローをエラーなく構築する論理的な思考力も重視されます。
さらに、企業のデジタルマーケティング全体を最適化するために、Googleアナリティクス4などのアクセス解析ツールや各種広告プラットフォームとHubSpotを連携させ、広告の費用対効果を可視化するダッシュボード構築スキルも需要があります。エンジニアリングの領域においては、外部システムとデータを同期させるためのAPI連携に関する知識や、iPaaS(複数のアプリケーションを繋ぐクラウドサービス)を活用したシステム統合の知見があると、対応できる案件の幅が広がります。
稼働スタイルによる案件の特徴(週5日、週2〜3日、週1日 / スポット)
フリーランスが参画する際の稼働スタイルは企業の要望やプロジェクトのフェーズによって分かれており、それぞれ異なる特徴を持っています。週5日のフルタイムで参画する案件は、大規模な基幹システムからの移行プロジェクトや、新規での全社的な導入など、短期間で集中的に環境を構築する必要がある場合に多く見られます。
このスタイルでは、企業のシステム部門やマーケティングチームの一員として深く組織に入り込み、毎日のミーティングに参加しながらスピーディーに意思決定を重ねていくことが特徴です。
一方で、週2日から3日の稼働スタイルは、既存の環境の運用改善や、中長期的なマーケティング施策の実行支援を行う伴走型の案件で主流となっています。複数のクライアントを並行して担当しやすい働き方であり、定例ミーティングでの進捗確認と、実際の構築作業をバランスよくこなす働き方が成立します。
週1日やスポットでの参画となる案件は、主に初期の要件定義におけるアドバイザリー業務や、特定のトラブルが発生した際の調査、あるいはピンポイントな新機能の実装といった業務が中心です。
稼働時間は短いものの、短時間で課題を解決する高い専門性が求められる傾向があり、自身の知見を効率的に提供して複数の企業を支援するスタイルに向いています。
HubSpot案件の単価相場
HubSpot案件の報酬単価は、担当する業務の領域や稼働スタイル、個人の専門性の高さによって一定の相場が形成されています。実務の操作代行やメルマガの入稿、簡単なレポート作成といったオペレーション業務が中心となる場合、時給換算での相場は2,500円から4,000円程度となることが一般的です。
これに対し、企業の営業プロセスに踏み込んだ要件定義や、全体のデータモデル設計、高度なワークフロー構築といったコンサルティング領域を担当する場合、時給相場は5,000円から10,000円以上へと上昇します。月額固定の契約形態を採用する場合、週2日程度の稼働で20万円から40万円程度、週5日のフルタイム稼働であれば月額80万円から150万円程度が目安となります。
他システムからのデータ移行を伴う大規模なプロジェクトや、独自システムとのAPI連携を設計・実装できる開発スキルを持つ技術者の場合、プロジェクト全体の予算規模が大きくなるため、さらに高い単価交渉が可能になります。
HubSpotの導入企業数に対して、上流工程から技術的な実装までを一貫して管理できるフリーランスの数は限られているため、専門性を証明できる実績を持つことで、市場の平均相場を上回る報酬水準を維持しやすい環境があります。
業務委託のHubSpot案件の種類
フリーランスとして獲得できる業務委託のHubSpot案件の種類を紹介します。
初期導入支援
HubSpotを新規に導入する企業を対象に、ツールの基盤をゼロから構築する業務です。クライアントのビジネスモデルや営業プロセスをヒアリングし、それに合わせて顧客情報を管理するためのプロパティ設計や、商談の進捗を管理するパイプラインの設定を行います。
企業の業務要件をシステム上の機能に落とし込むための要件定義が中心的な役割となります。また、問い合わせフォームの作成や、顧客の行動に応じた自動通知などの基本的なワークフローの構築も行います。
ツールを稼働させる前段階の準備として、社内メンバーのユーザー権限を設定し、初期の使い方の説明会や簡易的なマニュアルの作成までを担当することもあります。この種類の案件は、ツールの選定直後から実運用を開始するまでの数ヶ月間にわたるプロジェクト単位での契約になることが一般的です。
企業のマーケティングや営業の全体像を俯瞰し、現場の担当者がスムーズに実務を開始できるようにシステム環境を整える設計力が問われる領域です。
運用改善・コンサル
すでにHubSpotを導入しているものの、期待した成果が出ていない企業や運用の形骸化に悩む企業を支援する業務です。現場の担当者がシステムへ入力してくれない原因や、必要なデータがダッシュボードに反映されない理由を調査し、改善策を提示します。
過去の担当者が残した複雑な設定や、重複して乱立したプロパティを整理して、アカウントの健全性を回復させるデータマネジメントも含まれます。さらに、企業のマーケティング部門と営業部門の連携を強化するために、顧客データの受け渡しルールを再設計し、自動化の仕組みを再構築します。
定期的なミーティングを通じて運用の進捗を確認し、新しい課題に対して施策を提案する伴走型のスタイルが主流です。そのため、数ヶ月から年単位に及ぶ月額固定契約となるケースが多く見られます。
ツールの機能的な設定だけでなく、組織のプロセスを変革するためのコミュニケーション力や課題抽出の能力が発揮される案件です。
開発・システム連携
HubSpotと外部のシステムやツールをデータで結びつけ、社内の情報インフラを統合する技術的な業務です。企業が保有する自社の基幹システムや、外部の顧客管理ツール、あるいは外部コミュニケーションツールとHubSpot間でデータを同期させる設定を行います。
標準の連携アプリケーションで対応できない場合は、APIを用いてデータを制御したり、iPaaSを活用して複雑なデータ連携の仕組みを構築したりします。また、過去に使っていたレガシーシステムからHubSpotへ大規模な顧客データや商談履歴を移行するためのデータ構造の設計と移行作業の実行も担います。
この領域では、Web技術やデータベースの設計、プログラミング言語を用いた実装スキルなど、エンジニアとしての知見が求められます。技術的な難易度が高く、専門のエンジニアの数が限られているため、プロジェクトあたりの報酬水準が高く設定される傾向があるのが特徴です。
運用・作業代行
日々のマーケティング施策や営業サポートに関わる実務作業を、企業の代わりに手を動かして実行する業務です。具体的には、HubSpotを用いたメールマガジンの配信設定、ウェブサイトに設置するお問い合わせフォームやランディングページの構築、ブログ記事の入稿などが挙げられます。
また、イベントなどで集めた名刺情報をシステムにインポートしたり、顧客リストの表記ゆれを修正したりする地道なデータ整備作業も含まれます。この種類の案件は、施策の方向性や設計図がすでに決まっている状態からスタートするため、HubSpotの実務操作経験があれば比較的参画しやすい傾向があります。
稼働時間を細かくコントロールできるため、副業として始めやすく、リモートワークで完結する仕事が多いことも特徴です。報酬の形態は、時給制やタスク単位での清算となることが多く、正確なオペレーションを迅速にこなす能力が評価される領域です。
HubSpotフリーランス案件が案件を探す方法
フリーランスがHubSpot案件を探す方法について解説します。
フリーランスエージェントに登録する
フリーランス向けのエージェントサービスを活用することは、HubSpotの専門スキルを活かせる案件を見つけるための代表的な方法の一つです。エージェントは企業から直接依頼を受けているため、安定した報酬水準や中長期的な契約を見込みやすいという特徴があります。
自身の対応可能な製品機能や過去の導入実績、希望する週の稼働日数などを事前に登録しておくことで、担当者が条件に合致するプロジェクトを紹介してくれます。企業との商談の日程調整や契約条件のすり合わせ、報酬単価の交渉などをエージェントが代行してくれるため、営業活動にかかる手間を削減し、システム構築などの実務に集中しやすい環境を整えることができます。
デジタルマーケティング領域やIT系の職種に強みを持つエージェントに複数登録しておくことで、要件定義から運用までの幅広い案件に出会える可能性が高まります。
クラウドソーシングで探す
インターネット上で業務の受発注が行えるクラウドソーシングサイトの活用も、案件を獲得する有効な手段です。公開されている募集案件の中から、自分のスキルレベルや希望する条件に合ったものを自ら検索して応募する仕組みとなっています。
HubSpot関連の依頼には、初期の環境構築のようなまとまった業務から、特定のメール配信設定やランディングページ作成などの小規模なタスクまで幅広い種類があります。実績が少ない独立初期の段階でも、比較的応募のハードルが低い運用代行などの案件から着手し、評価を積み重ねていくことが可能です。
クライアントとのやり取りはオンライン上で完結することが多いため、リモートワークや週末だけの副業といった柔軟な働き方を実現しやすいという点にも注目です。定期的にサイトを確認し、新着の募集に対して迅速に提案文を送ることが案件獲得につながります。
知人からの紹介
過去に一緒に仕事をした同僚や取引先、業界内の知人からHubSpot関連の案件を紹介してもらう方法もあります。すでに自分の仕事に対する姿勢やスキルレベルを理解してくれている相手からの紹介であるため、企業側からの信頼を得やすいという点がメリットです。
事前に人柄や能力が伝わっていることで、面談から契約に至るまでの選考プロセスがスムーズに進みやすく、案件への参画が早期に決定することも期待できるでしょう。また、市場には公開されていないような非公開のプロジェクトや、企業の経営層に近い立場でマーケティング戦略に関わる上流工程の案件を打診されることもあります。
日頃から自分の得意領域や対応可能な業務内容を周囲に共有しておくことで、企業がHubSpotの導入や運用で悩みを抱えた際に、解決できる人材として声をかけてもらいやすくなります。
直接営業やSNS
自分から企業に対して直接提案を行ったり、ソーシャルメディアを通じて専門性を発信したりすることも案件獲得の手法として考えられます。HubSpotを導入していそうな企業や、マーケティングツールを活用して事業を拡大しようとしている企業の担当者に直接コンタクトを取っていきましょう。
その際、相手の抱えていそうな課題を予測し、それをHubSpotの機能でどう解決できるかをまとめた提案書を用意すると効果的です。
同時に、ビジネス向けのSNSや自身のブログを活用して、ツールの活用ノウハウや設定に関する専門的な情報を継続的に発信することも有効です。実務に基づいた具体的な解決策を公開し続けることで、検索経由で悩みを抱えた企業の担当者の目に留まり、向こうから直接相談や依頼が舞い込む状況を作ることができます。日々の発信活動が、自身の専門性を外部に証明するポートフォリオとしての役割も果たします。
フリーランスのHubSpot案件探しにおすすめのエージェント
フリーランスのHubSpot案件を探す際におすすめのエージェントを紹介します。
レバテックフリーランス
ITエンジニアやWebマーケター向けの案件を数多く取り扱う大手のエージェントです 。企業との直接契約による高単価なプロジェクトが多く、HubSpotを用いた大規模な開発プロジェクトから運用保守といった案件まで幅広く探すことができます。
専任のコーディネーターがスキルや経験を詳細にヒアリングし、条件に合う企業とのマッチングをサポートしてくれるため安心です。フルタイムでの稼働や週4日以上の週稼働の案件が中心となっており、企業のIT部門の一員として深くプロジェクトに参画し、安定した収入を得たいフリーランスに向いています。
ITプロパートナーズ
週2日から3日の稼働やリモートワークでの参画が可能な案件を多く取り扱っているエージェントです。スタートアップやベンチャー企業からの依頼が多く、HubSpotを活用した初期のマーケティング基盤構築や、営業プロセスの導入支援といった案件が見つかりやすい特徴があります。
複数のクライアントを並行して担当する働き方を希望するフリーランスや、会社員を続けながら副業として実務実績を積みたいと考えている人材に適した環境が用意されています。
企業の経営層や事業責任者と直接対話しながら要件定義を進める上流工程のプロジェクトも多く、自身の裁量でツールの運用提案を行いたい技術者に向いているサービスです。
Midworks
フリーランスとして働きながらも、正社員並みの福利厚生や保障を受けられる各種サービスを提供しているエージェントです。週3日以上の稼働を中心とした案件が多く、HubSpotの日常的な運用代行や中長期的な伴走支援といった継続性の高いプロジェクトを探す際に役立ちます。
交通費の支給や損害賠償保険への加入、税務サポートなど、個人事業主が抱えがちなリスクや事務負担を軽減する仕組みが導入されている点が特徴です。安定した生活基盤を維持しながら、HubSpotの専門スキルを活かして企業のデジタルマーケティング推進に貢献したいフリーランスに適しており、長期的なキャリア形成を支えるパートナーとして活用できます。
HubSpotのフリーランスで独立する方法
フリーランスのHubSpotエキスパートとして独立する方法を紹介します。
新卒や中途採用で企業に就職する
フリーランスとして独立する前の段階として、まずは事業会社や支援会社に正社員として就職し、実務経験を積む方法があります。企業のマーケティング部門やインサイドセールス部門に所属することで、HubSpotの日常的な操作方法やデータの扱い方を現場の視点から学ぶことができます。
また、導入支援を行うコンサルティング会社や代理店に入社すれば、多様な業種や規模の企業に対するツールの初期構築や運用改善のノウハウを蓄積できます。組織の中で働くことで、ツールを利用する現場の課題や、部門間のデータ連携の難しさを肌で感じられる点が一つの利点と言えます。
企業の予算を使ってマーケティング施策を実行したり、チームで協力して課題を解決したりする経験は、将来フリーランスとして一人で企業に提案を行う際の確かな裏付けとなるでしょう。
HubSpotの開発スキルを身につける
実務の中でツールの標準的な機能を理解した後は、より高度な設定や開発に関する知識を深めていく段階に入ります。HubSpotが公式に提供している無料の学習プラットフォームであるHubSpot Academyを活用し、マーケティングやセールスに関する認定資格を体系的に取得して知識の定着を図ります。
また、企業の複雑な要件に応えるために、APIを利用して外部の顧客管理システムや社内データベースと情報を連携させる技術的な理解も深めます。標準機能だけでは実現が難しいカスタマイズや自動化の仕組みを設計できるスキルがあると、独立後の対応範囲が広がりやすいでしょう。
さらに、外部の解析ツールと連携させ、データを統合して視覚化するダッシュボードの構築方法などを学んでおくと、施策全体の効果測定を行える技術者として市場での評価を高めることができます。
スキルシートやポートフォリオを準備する
独立に向けて自分の能力を外部に証明するために、これまでの経歴や習得した技術をまとめたスキルシートを作成します。過去に関わったプロジェクトにおいて、どのようなビジネス課題に対して、HubSpotのどの機能を使い、どのような成果を出したのかを具体的な数値や期間とともに記載します。
例えば、マーケティングや営業プロセスの自動化によって削減できた作業時間や、商談の獲得率の向上といった成果を言語化しておきます。また、秘密保持契約に違反しない範囲で、自身が設計したワークフローの構成図やダッシュボードの画面構成などをポートフォリオとして視覚的にまとめます。
取得した公式の認定資格や、対応できる開発言語、外部ツールとの連携実績なども明確にリストアップしておきます。自分の強みが初期導入のコンサルティングなのか、運用代行なのか、あるいはシステム連携なのかを分かりやすく提示する準備を整えます。
案件を獲得して実績を積む
準備が整った後は、実際に自身のスキルを活かせる業務委託の案件を探し、外部のクライアントとの実績を作っていきましょう。最初の段階では、会社員としての本業を続けながら、クラウドソーシングサイトや知人の紹介を利用して、週に数時間程度の副業として小さな案件から着手する方法があります。
フォームの作成やメール配信の設定といった部分的な運用代行のタスクを通じて、クライアントの要望を汲み取り、期日通りに納品する感覚を掴みます。副業での実績と自信がついてきた段階で、フリーランス向けのエージェントに登録し、規模の大きな運用改善や初期構築の案件に挑戦するとよいでしょう。
複数の異なる企業での支援実績を重ねることで、自分自身の適正な報酬単価の相場を把握できるようになります。関わったクライアントからの信頼を得て、単発の依頼から継続的な伴走支援の契約へと切り替えていくことで、独立後の安定した事業基盤を築くことに繋がります。
HubSpotのプロフェッショナルとして独立する前に
HubSpotのプロフェッショナルとして独立する前に準備しておきたいポイントを紹介します。
強みやスキルを明確にする
HubSpotのフリーランスとして独立する前には、自身が提供できる具体的な価値や技術的な強みを整理して言語化しておくことが求められます。ツールの標準的な操作ができる人材は増えているため、周辺のシステムや異なる専門知識を掛け合わせた独自の立ち位置を確立することが重要となります。
例えば、Salesforceや他の顧客管理ツールからHubSpotへのデータ移行を伴うリプレイスの知見は、大規模なシステム変更を検討する企業から評価されます。また、Googleアナリティクス4やGoogleタグマネージャーを用いた高度なアクセス解析と、HubSpot側の顧客データを紐づけて広告の成果を可視化するスキルも需要があります。
さらに、標準機能では対応できない業務の自動化を、APIやGoogle Apps Scriptなどのプログラムを用いて実装できる技術力があれば、開発案件も含めた包括的な提案が可能になります。自分がマーケティングの戦略設計を得意とするのか、営業プロセスの効率化を得意とするのか、あるいはシステム間のデータ連携を得意とするのかを明確にしておくことが、独立後の円滑な案件獲得につながるでしょう。
副業・業務委託での実績づくり
いきなり独立して事業を始めるのではなく、会社員としての基盤があるうちに副業や業務委託として小規模な案件から着手し、市場での実績を積み重ねていくことが推奨されます。実際の案件をこなすことで、クライアントがどのような課題を抱えており、自身のスキルがどのように役立つのかを実体験として理解できるようになるためです。
この段階では、守秘義務に抵触しない範囲で外部に提示できるポートフォリオを用意するために、具体的な課題解決のプロセスや改善実績を整理しておきます。また、クラウドソーシングサイトやエージェントを通じて案件に応募する中で、市場が自分のスキルに対してどの程度の報酬を支払ってくれるのかという適正な単価感を把握することもできます。
さらに、初期導入支援や月額での伴走コンサルティングなど、自身のサービスをメニューとしてパッケージ化し、どの形式がクライアントに受け入れられやすいかを検証する期間としても有効です。
複数の企業と仕事を行い、実務の流れやクライアントとのコミュニケーション方法を事前に経験しておくことで、独立後の業務上のトラブルを未然に防ぐことができます。
独立に向けた実務的な準備
独立後の事業を持続可能なものにするためには、実務を開始するためのインフラやサポート体制を事前に整えておくことが必要です。HubSpotに関連する業務は、システムの設計だけでなく、ウェブサイトのデザイン変更や高度なプログラム開発など、多岐にわたる作業が発生することがあります。
そのため、自分が得意とする上流の設計業務に集中できるように、デザインやコーディングを任せられる信頼できるフリーランスの仲間や外部パートナーとの連携体制を構築しておくと業務の幅が広がります。また、自身の専門性を客観的に証明するための看板として、HubSpot Academyが提供している各種の認定資格のうち、上流工程や高度な運用に関わるものを取得しておくことも有効な準備となります。
さらに、独立直後から途切れなく案件を確保できるように、複数のフリーランス向けエージェントへの登録を済ませ、職務経歴書やスキルシートのアップデートを完了させておきます。開業届の提出や確定申告の準備、損害賠償保険への加入など、個人事業主として活動するために必要な事務手続きやリスク管理の仕組みを整えておくことで、安心して案件に注力できるようになります。
HubSpotの業務委託案件で確認したいポイント
HubSpotのフリーランスとして業務委託案件を受注する際に確認したいポイントについて解説します。
現状の環境
既存のアカウントがどのような状態にあるかを事前に把握することは、案件の工数やリスクを見極める上で重要な要素となります。すでにツールを導入している企業の場合、社内のデータ構造がどの程度整理されているかによって作業の手間が大きく変わります。確認すべき点として、類似した意味を持つカスタムプロパティが重複して乱立していないか、あるいはデータの表記ゆれや重複レコードが放置されていないかという点が挙げられます。
データ品質が低下している環境では、自動化の仕組みであるワークフローや顧客の抽出リストが正しく機能しないため、構築作業の前に大規模なデータ整理が必要になることがあります。また、過去の担当者が作成した意図の分からないワークフローが大量に稼働したままブラックボックス化している事例も少なくありません。これらの設定を精査せずに変更を加えると、予期せぬ自動通知やデータの書き換えが発生するリスクがあります。
契約しているライセンスの種類やエディション、作成可能なワークフロー数の残り枠なども含めて、管理画面の現状を事前に確認しておくことが求められます。
外部システム・ツールとの連携要件
HubSpot単体で業務が完結せず、企業が既に利用している外部のシステムやツールとデータを同期させる必要があるかを確認することも重要です。顧客管理システムであるSalesforceや業務改善ツールのkintone、あるいは社内の基幹システムやLINE連携ツールなど、どの外部アプリケーションと接続するのかを明確にします。
連携の方法についても、HubSpotのアプリマーケットプレイスに用意されている標準のコネクタで対応できるのか、それともZapierなどのiPaaSを介する必要があるのかを調査します。
さらに高度な連携として、Webhooksや独自APIを用いたカスタムコードの実装が必要になる場合は、技術的な難易度と作業工数が大幅に増加するため事前の確認が欠かせません。データの同期についても、双方向でリアルタイムに情報を更新するのか、特定のシステムからHubSpotへの片方向のインポートのみで済むのかといった仕様の確認が必要です。連携の仕様を曖昧にしたままプロジェクトを進めると、システム間のデータの不整合が発生しトラブルの原因となるため丁寧な確認が求められます。
業務スコープと現場の運用の体制
トラブルを防ぎ円滑にプロジェクトを進めるためには、自身が担当する業務の境界線と、クライアント側の体制を明確にしておく必要があります。契約内容における成果物の定義として、全体の戦略設計や要件定義までを担当するのか、実際の画面操作やワークフローの設定までを担うのかをすり合わせます。さらに、設定完了後の現場向けの操作マニュアル作成や実務のトレーニングまでをスコープに含めるのかについても、見積もりの段階で合意しておく必要があります。
同時に、クライアント企業側で誰がメインの窓口となり、実務の運用を誰が担当するのかという組織の体制も確認します。
マーケティング部門が主導しているのか、情報システム部門が管轄しているのかによって、仕様の決定スピードやセキュリティに関する要望が変わります。また、実務を行うにあたってHubSpotの最高権限であるスーパー管理者権限をスムーズに付与してもらえる環境かどうかも重要です。現場の運用能力や人員の状況を把握した上で、適切なサポートの範囲を取り決めておくことが長期的な関係構築につながります。
HubSpotのフリーランスになる際の注意点
フリーランスのHubSpotエキスパートとして独立する方法を紹介します。
自己管理が必要
フリーランスとして活動する場合、勤務時間や作業の進捗を自分自身で厳格に管理する姿勢が求められます。HubSpotの案件はリモートワークで完結することが多く、自由な環境で働ける反面、生活リズムの乱れや作業の遅延が起きやすい環境でもあります。
複数のクライアントから同時に案件を受注する際には、それぞれの納期や稼働時間を考慮し、自身の処理能力を超えないようにスケジュールを調整する能力が重要です。また、HubSpotは定期的に機能のアップデートや仕様変更が行われるツールであるため、新しい情報を自発的に収集し、知識を常に更新し続ける必要があります。
会社員のように研修や指導を受ける機会はないため、実務を通じて得た知見を整理し、体調管理を含めた自己統制を行うことが、長期的に信頼を得るための基盤となります。
契約を書面で締結する
業務委託として案件を受注する際には、トラブルを未然に防ぐために、契約内容を書面や電子的記録で明確に残すことが重要です。HubSpotの運用支援では、プロジェクトの進行中にクライアントから追加の設定や操作説明といった要望が発生しやすい傾向があります。
口頭の約束だけで業務を進めてしまうと、作業範囲が曖昧になり、想定以上の工数がかかっても追加の報酬が支払われないといった問題が生じかねません。契約書を締結する際には、業務の範囲や成果物の定義、修正対応の回数、支払いの条件などを詳細に明記しておく必要があります。
また、顧客データを扱うツールの性質上、秘密保持に関する条項やセキュリティに関する取り決めも丁寧にすり合わせておくことが、双方の権利を守ることにつながります。
税務申告を忘れないようにする
個人事業主として独立した後は、自身の収入や経費を正しく記録し、適切な税務申告を行う義務が発生します。毎月の報酬から経費を差し引いた所得を計算し、期限までに確定申告の手続きを滞りなく進めるための準備が必要です。
日頃から領収書や請求書を整理し、会計ソフトなどを利用して帳簿を正確につけておくことで、確定申告の時期に慌てることなく対応できます。また、事業を開始した際には税務署へ開業届を提出する手続きや、青色申告の承認申請を行うことで税制上のメリットを享受できる仕組みも用意されています。
取引先の企業規模や契約内容によっては、インボイス制度への対応や消費税の申告が必要になる場合もあるため、自身の状況に合わせた税務の知識を蓄えておくことが重要です。
適切な申告を行うことは、社会的な信用を維持するためにも必要となります。

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