インフラエンジニアとして、本業とは別に副業収入を得たいとお考えでしょうか。「週に1日か2日だけ」「土日のみ」「完全に在宅で」といった柔軟な働き方でパラレルワークを希望する方もいるでしょう。結論から言うと、インフラエンジニアの副業は十分に「稼げる」可能性を秘めており、このような希望に沿った案件を見つけることも不可能ではありません。
現代のITインフラは企業の根幹を支える生命線であり、クラウド化の進展に伴い、場所を選ばずに専門知識を発揮できる機会が増えています。
本記事では、そんなインフラエンジニアが副業で稼ぐための具体的な方法や、希望する条件に合った求人を見つけるためのポイント、そして副業を始める上での注意点までを網羅的に解説します。
インフラエンジニアの副業は稼げる?
インフラエンジニアの副業でお金を稼ぐことはできるのでしょうか。人材需要、副業マッチングの仕組み、収入アップのポイントについてみていきましょう。
ITインフラの設計・構築・運用保守
インフラエンジニアの副業は、その専門性と需要の高さから、十分に「稼げる」可能性があります。今日のデジタル化された社会において企業のITインフラは事業継続の生命線であり、その安定稼働を支える技術者のスキルは高く評価されます。企業が内製でITインフラの設計・構築・運用保守といった全ての業務を賄うことが難しい場合や、特定のプロジェクトで一時的に専門知識が必要な場合に、業務委託のインフラエンジニアに依頼するケースが増えています。
また、クラウド技術の普及により、リモートでの作業が可能な案件も増え、場所に縛られずに働く選択肢が広がったことも、副業で収入を得やすくなった要因と言えるでしょう。
副業マッチングの活用
インフラエンジニアが副業案件を探す上で、副業マッチングサービスの活用はかなり有効な手段です。エージェントやクラウドソーシングのプラットフォームには、全国の企業から寄せられた業務委託案件が豊富に掲載されており、自身のスキルや経験、希望する働き方に合った仕事を効率的に探すことができます。特に、エージェントを通じて案件を探す場合、キャリアアドバイザーが単価交渉や契約手続きのサポートを行ってくれるため、本業との兼ね合いで時間がない方でもスムーズに副業を始めることが可能です。
また、信頼できるプラットフォームを利用することで、未払いやトラブルのリスクを軽減し、安心して副業に取り組むことができます。
稼ぐためのポイント
会社員のインフラエンジニアが副業でより多く稼ぐためには、市場価値の高いスキルを磨き続けることが大切です。クラウド関連技術(AWS認定資格、Azure認定資格など)や、IaC(Infrastructure as Code)ツール(Terraform、Ansibleなど)、データ基盤構築の経験は、多くの企業から求められるため、これらのスキルを習得することで高単価案件を獲得しやすくなります。
また、これまでの実績をまとめたポートフォリオを作成し、自身の専門性を明確にアピールすることも重要です。さらに、案件ごとに求められるスキルレベルを見極め、自身のスキルセットと合致する案件を選ぶことで、効率的に稼ぐことが可能になります。
インフラエンジニア副業案件の現状:スキルと単価相場
インフラエンジニアの副業に必要なスキルと報酬の単価相場について紹介します。
インフラエンジニアの副業で求められるスキル
現在のインフラエンジニアの副業案件で強く求められるスキルは、何と言ってもクラウド関連の技術です。AWS、Azure、GCPといった主要なクラウドサービスの設計、構築、運用経験を備えておくとよいでしょう。加えて、Infrastructure as Code(IaC)を実現するTerraformやAnsibleなどのツールを使った自動化スキル、そしてDockerやKubernetesといったコンテナ技術の知識も非常に価値が高いです。これらの技術は、システムの迅速なデプロイや効率的な運用に不可欠であり、企業の競争力向上に直結します。
また、セキュリティ対策に関する深い知識や、ネットワーク、サーバー、データベースに関する理解も依然として重要であり、プロジェクト毎にエキスパートが求められるため、これらの専門的なスキルを持つインフラエンジニアが市場で高く評価されています。
インフラエンジニア副業の単価相場
インフラエンジニアの副業の単価相場は、個人のスキルレベルや経験年数、そして担当する業務の難易度によって大きく変動します。例えば、レバテックフリーランスのデータによると、フリーランスのインフラエンジニアの平均月単価は68万円程度(2025年6月時点)とされており、これは他のIT職種と比較しても高水準です。
経験が1〜2年の場合は月40〜55万円程度が目安ですが、3〜5年の経験で55〜70万円、6年以上の経験や要件定義・基本設計、プロジェクトリーダーやマネージャーの経験があれば、70〜100万円以上を狙える案件も存在します。
なかでも、クラウド環境の設計やセキュリティ設計、アーキテクチャ設計といった上流工程の案件や、PM/PMO(プロジェクトマネージャー/プロジェクトマネジメントオフィス)といったマネジメント色の強い案件は、より高単価になる傾向が見られます。
インフラエンジニア副業案件の種類
インフラエンジニアの副業で獲得できる案件の種類についてみていきましょう。
ITコンサルティング
ITコンサルティングは、企業のIT戦略策定や、既存のインフラ環境の課題特定、改善提案、そして将来的なIT投資計画の立案などを支援する、高度な専門性を要する副業案件です。技術的な知識はもちろんのこと、業界トレンドへの深い理解、そしてクライアントのビジネス目標を達成するための戦略的思考が求められます。単に特定のツールを導入するだけでなく、企業全体のIT基盤を最適化し、ビジネス成長を加速させるためのロードマップを描く役割を担うため、非常に責任は重いですが、その分高い報酬が期待できます。
経営層や事業部門とのコミュニケーション能力が必要であり、技術とビジネスの両面から企業をサポートするやりがいのある仕事と言えるでしょう。
インフラ構成レビュー
インフラ構成レビューは、企業の既存システムや新規に構築中のインフラ構成を第三者の視点から評価し、潜在的な問題点や改善点を指摘する副業案件です。パフォーマンスのボトルネック、セキュリティ上の脆弱性、コスト最適化の余地などを洗い出し、具体的な改善策を提案することが主な業務内容となります。これは、システムの安定稼働や将来的な拡張性を確保するために非常に重要なプロセスであり、企業にとっては大きな価値をもたらします。
豊富なインフラ構築・運用経験に基づいた深い知見が求められ、特に大規模システムや複雑な構成を持つインフラのレビューでは、その専門性が高く評価されます。客観的な視点と実践的なアドバイスが求められるため、自身の経験を活かして企業のIT基盤強化に貢献したい方に適しています。
セキュリティ対策
セキュリティ対策は、今日のサイバー攻撃の脅威が増大する中で、企業にとって最優先事項の一つとなっており、インフラエンジニアの副業案件としても需要が高い領域です。具体的な業務内容は、既存システムのセキュリティ脆弱性診断、適切なアクセス制御の設計・実装、セキュリティパッチの適用、監視体制の強化、そして従業員へのセキュリティ教育など多岐にわたります。情報漏洩やサービス停止といった重大なリスクを未然に防ぐためのプロアクティブな対策が求められます。
これらの案件では、最新のセキュリティトレンドや攻撃手法を把握し、それらに対応できる専門知識が不可欠です。企業の重要な情報を守るという社会的な責任も大きく、専門性の高いスキルを持つインフラエンジニアが重宝される分野です。
運用・監視の自動化
運用・監視の自動化、特にDevOpsの考え方を取り入れた案件は、現代のIT運用において効率性と迅速性を向上させるための重要な取り組みであり、インフラエンジニアの副業案件として非常に注目されています。CI/CDパイプラインの構築、Infrastructure as Code(IaC)によるインフラの自動プロビジョニング、モニタリングツールの導入とアラート設定の最適化などが主な業務内容となります。これらを通じて、手作業によるミスを削減し、システム障害発生時の復旧時間を短縮し、開発と運用の連携を強化することで、企業のIT部門全体の生産性を向上させます。
Ansible、Terraform、Jenkins、Prometheus、Grafanaなどのツールの深い知識と実践経験が求められ、システムのリリース頻度を高め、市場の変化に迅速に対応できる体制を構築する上で不可欠なスキルです。
スクール・セミナー講師
スクール・セミナー講師は、自身のインフラエンジニアとしての豊富な知識と実務経験を活かし、IT技術を学びたい人々に教える副業案件です。プログラミングスクールでの講師、企業内研修の担当、あるいは外部セミナーでの講演など、活躍の場は多岐にわたります。インフラ構築の基本、クラウドサービスの活用方法、ネットワークの知識、セキュリティ対策など、実務で培った生きた知識を伝えることで、受講者のスキルアップに貢献します。教えることで自身の知識がより深く整理され、新たな発見があることも魅力の一つです。技術的な内容を分かりやすく説明するコミュニケーション能力や、受講者の理解度に応じた柔軟な対応が求められますが、次世代のエンジニア育成に貢献できるやりがいを感じられるでしょう。
技術記事の執筆・情報発信
技術記事の執筆やブログ、YouTubeなどでの情報発信は、自身のインフラエンジニアとしての専門知識や経験を広く共有し、収益を得る副業案件です。最新の技術動向、特定のツールの使い方、トラブルシューティングのノウハウ、実務で役立つTipsなど、多岐にわたるテーマで情報発信が可能です。質の高いコンテンツは多くの読者や視聴者を引きつけ、広告収入やアフィリエイト収入、あるいはコンサルティング案件の獲得に繋がる可能性があります。
記事のライティングには、技術的な正確性に加え、分かりやすさや魅力的な表現力が求められます。自身のペースで進められるため、本業との両立がしやすい点も大きな魅力です。情報発信を通じて、自身のブランドを確立し、キャリアの幅を広げることも期待できます。
インフラエンジニアの副業で案件の探し方
インフラエンジニアとして副業案件を探す方法は多岐にわたりますが、それぞれの特性を理解し、自身の状況や目指す働き方に合わせて選ぶことが成功の近道となります。具体的な方法について以下でみていきましょう。
エージェント
エージェントサービスは、インフラエンジニアが副業案件を探す上で非常に強力な味方となります。これらのサービスは、数多くの非公開案件や、企業の具体的なニーズに合わせた案件情報を持っており、自身のスキルや経験、希望条件に合致する案件を効率的に紹介してくれます。専任のキャリアアドバイザーが単価交渉や契約手続きの代行までサポートしてくれるため、本業が忙しい方でもスムーズに副業を始めやすいのが大きなメリットです。
また、企業側からのフィードバックを元に、自身の市場価値を把握したり、スキルアップのアドバイスを受けたりすることも可能です。特に、高単価で専門性の高い案件を探している場合や、初めての副業で不安がある場合に活用すると良いでしょう。
クラウドソーシング
クラウドソーシングサイトは、比較的手軽にインフラエンジニアの副業案件を探せるプラットフォームです。Webサイト構築に伴うサーバー設定、小規模なネットワーク構築、既存システムの運用保守の一部など、比較的短期間で完了する案件や、特定のスキルに特化した案件が多く見られます。自身で案件を選び、応募し、クライアントと直接交渉を行うため、柔軟な働き方ができるのが魅力です。
ただし、単価はエージェント経由の案件と比較して低めになる傾向があり、本人の交渉力も問われます。実績を積み重ねることで信頼を得て、継続的な案件を獲得できるようになります。まずは経験を積みたい方や、隙間時間を有効活用したい方におすすめのアプローチと言えるでしょう。
知人からの紹介
知人からの紹介は、インフラエンジニアの副業案件獲得において、最も信頼性が高く、スムーズに進みやすい方法の一つです。過去の職場の同僚、学生時代の友人、セミナーなどで知り合った業界関係者など、自身のこれまでの人脈を通じて案件が舞い込むことがあります。すでに信頼関係が構築されているため、契約に至るまでのプロセスが迅速に進むことが多く、報酬面でも比較的優遇される傾向があります。
また、案件の内容やクライアントの雰囲気などを事前に把握しやすいため、ミスマッチのリスクも低いでしょう。日頃から積極的に人脈を広げ、自身のスキルや副業への意欲を周囲に伝えることが、良質な紹介案件を引き寄せるための重要なポイントになります。
直接営業
直接営業は、ご自身でターゲットとなる企業を見つけ、アプローチしていく積極的な案件獲得方法です。これは、特定の業界や企業に特化したインフラの専門知識がある場合や、自分で販路を開拓したい場合に特に有効です。企業のWebサイトやIT関連イベントを通じてニーズを探ったり、SNSやブログで自身の専門性を発信して企業からの問い合わせを待つ「インバウンド型営業」も含まれます。直接契約のため仲介手数料が発生せず、交渉次第では高単価での契約も期待できますが、案件獲得までに時間と労力がかかる可能性もあります。
個人事業主としての自身の強みを明確にし、企業が抱える課題を解決できることを具体的に提示する提案力が求められますが、長期的な関係性を築きやすいというメリットもあります。
インフラエンジニアの副業におすすめのエージェント
インフラエンジニアの副業探しにおすすめのエージェントを紹介します。
レバテックフリーランス
レバテックフリーランスは、IT・Web業界に特化した国内最大級のフリーランスエージェントとして広く知られています。インフラエンジニア向けの副業案件も豊富に扱っており、特に高単価の案件や、クラウド技術(AWS、Azure、GCPなど)を用いた専門性の高い案件が多く見られます。専任のコーディネーターによる手厚いサポートが特徴で、案件の紹介から単価交渉、契約、参画後のフォローまで一貫して支援してくれます。副業で高収入を目指したい方や、実績豊富なエージェントのサポートを受けながら安心して案件を進めたいインフラエンジニアの方におすすめです。
エクストリームフリーランス
エクストリームフリーランスは、デジタル人材のフリーランス案件に特化したエージェントであり、インフラエンジニア向けの案件も多数取り扱っています。リモートワーク可能な案件が全体の内でも高い割合を占めるなど、場所にとらわれずに働きたいインフラエンジニアにとって魅力的な選択肢となるでしょう。高単価案件も多く、最新技術を取り入れたプロジェクトに参画できる機会も期待できます。面談回数が少ない案件や、スピーディーな参画を求める方にも適しており、効率的に副業案件を探したいインフラエンジニアにおすすめのエージェントです。
ハイパフォコンサル
ハイパフォコンサルは、その名の通り「ハイパフォーマンス」な案件、特に高単価のコンサルティング案件に強みを持つエージェントです。インフラエンジニアの副業においても、企業のIT戦略立案やインフラの全体設計、大規模プロジェクトの技術コンサルティングといった、上流工程やマネジメント層のスキルが求められる案件を多く扱っています。月額単価100万円を超えるような案件も豊富で、自身の高い専門性と経験を活かして、より責任のあるポジションで活躍し、高収入を得たいインフラエンジニアの方におすすめです。
インフラエンジニアの副業求人を探す際のポイント
週1日、土日稼働、在宅ワークなど副業に向いたインフラエンジニアの求人を探す際のポイントについて紹介します。闇雲に案件を探すのではなく、自身の希望条件を明確にしておくことで、効率的に最適な副業を見つけ出すことができます。
週1〜2日など低稼働の案件があるか
インフラエンジニアの副業において、週1〜2日といった低稼働の案件の有無は、本業との両立を考える上で大切なポイントです。多くの企業ではインフラの安定稼働が求められるため、業務委託の案件では、常駐や週3日以上の稼働を求める案件も少なくありません。しかし、中には特定のプロジェクトの技術アドバイスや、緊急時のオンコール対応、スポット的な設計レビューなど、限られた時間で貢献できる案件も存在します。これらの低稼働案件は、高い専門性や特定の技術に対する深い知識を持つエンジニアにとって、効率的に収入を得る機会となります。エージェントに相談する際や、求人情報を確認する際には、稼働日数や時間に関する条件を細かくチェックし、自身のキャパシティに合った案件を見極めることが肝要です。
平日夜、早朝、土日で稼働できるか
インフラエンジニアの副業では、平日夜、早朝、あるいは土日といった、本業の時間帯を避けた稼働が可能な案件であるかどうかも重要な確認事項です。企業によっては、システムのメンテナンスやアップデート作業を通常の業務時間外に行う必要があるため、こうした時間帯に作業できるインフラエンジニアは重宝されます。システムダウンが許されない重要なインフラの運用保守などでは、緊急時の対応力が求められるため、フレキシブルな時間帯に稼働できることが強みとなります。副業として取り組む場合、自身の生活リズムや本業のスケジュールを考慮し、無理なく継続できる時間帯での稼働が可能な案件を選ぶことで、ストレスなく副業を続けることができるでしょう。
リモート・在宅ワークで作業できるか
リモート・在宅ワークで作業できるかどうかも、インフラエンジニアが副業案件を探す際の大きなポイントです。クラウド技術の普及により、物理的なサーバーに触れることなく、リモート環境からインフラの構築や運用、監視を行う案件も出てきています。これにより、通勤時間を削減し、自身の好きな場所で作業できる柔軟な働き方に取り組むことができます。特に、地方在住のインフラエンジニアや、自宅での作業を希望する方にとって、リモート案件は非常に魅力的です。求人情報を確認する際には、「フルリモート」「完全在宅」といったキーワードに注目し、自身の働き方に合致する案件を選ぶことで、副業の選択肢を大きく広げることができます。
本業と競合しないか
インフラエンジニアとして副業案件を探す際、慎重に確認すべき箇所は、本業と副業が競合しないかという点です。これは、本業の企業の就業規則に抵触しないか、あるいは情報漏洩や顧客の引き抜きといったコンプライアンス上の問題が発生しないかという側面を含みます。同業他社の案件や、本業で担当しているプロジェクトと類似する内容の副業は、トラブルの原因となりやすいです。副業を始める前には、必ず本業の就業規則を確認し、必要であれば会社に相談することが賢明です。また、副業案件のクライアントに対しても、本業での兼業について正直に伝え、理解を得ておくことで、安心して副業に取り組むことができるでしょう。自身のキャリアを守るためにも、この点は最も注意を払うべきポイントです。
インフラエンジニア副業の始め方
インフラエンジニアの経験をつみ、副業を始める手順についてみていきましょう。
就職して実務経験を積む
インフラエンジニアとして副業を始める上で最初の一歩は、まず本業でしっかりと実務経験を積むことです。副業案件では即戦力が求められるため、基本的なITインフラの知識はもちろん、実際のシステム構築、運用、トラブルシューティングなどの経験が欠かせません。ネットワーク、サーバー、データベースなどITインフラの設計、構築、運用管理に加え、クラウド環境(AWS、Azure、GCPなど)での実務経験は、現在の副業市場で非常に高く評価されます。
ネットワーク
インフラエンジニアの副業において、ネットワークに関する実務経験は基盤となるスキルです。企業のITインフラはすべてネットワーク上で稼働しており、その設計、構築、運用、そしてトラブルシューティングの経験は不可欠です。例えば、ルーターやスイッチの設定、VLANの設計、VPNの構築、ルーティングプロトコルの理解などが挙げられます。大規模なデータセンターやクラウド環境におけるネットワーク構成の知識も重要です。本業でこれらの実務に携わることで、様々なネットワーク機器や技術に触れ、実際の障害対応を通じて問題解決能力を養うことができます。これらの経験は、副業で企業のネットワーク環境の改善提案や、新しいネットワークの導入支援を行う際に、大いに役立つでしょう。
サーバー
サーバーに関する実務経験は、インフラエンジニアにとって中核となるスキルの一つです。物理サーバーだけでなく、仮想化技術(VMware, Hyper-Vなど)やクラウド上の仮想サーバー(EC2, Azure VMなど)の構築、運用、監視、そしてトラブルシューティングの経験が求められます。OS(Linux, Windows Serverなど)の知識や、Webサーバー(Apache, Nginx)、アプリケーションサーバー(Tomcat, IIS)の設定、ミドルウェアの導入経験も重要です。本業でこれらのサーバー構築・運用に携わることで、システムの安定稼働を実現するためのノウハウや、パフォーマンス最適化の知識を深めることができます。副業では、新しいサービスのサーバー構築や、既存サーバーの移行、障害対応など、多岐にわたる案件に対応できるようになります。
データベース
データベースに関する実務経験も、インフラエンジニアの副業において高い価値を持ちます。Webサービスやアプリケーションの多くはデータベースを基盤としており、その設計、構築、運用、そしてチューニングの知識は欠かせません。MySQL、PostgreSQL、Oracle Database、SQL Serverといった主要なリレーショナルデータベースはもちろん、NoSQLデータベース(MongoDB, Cassandraなど)の経験も増々重要になってきています。本業でデータベースのバックアップ・リカバリ戦略の策定、パフォーマンス監視、クエリの最適化などに携わることで、データの一貫性と可用性を確保するスキルが養われます。副業では、データベースの移行支援やパフォーマンス改善、障害対応など、企業のデータ資産を守る重要な役割を担うことができるでしょう。
セキュリティ
今日のIT環境において、セキュリティに関する実務経験はインフラエンジニアにとって非常に重要なスキルセットです。サイバー攻撃のリスクが増大する中で、システムの脆弱性診断、ファイアウォールやIDS/IPS(侵入検知・防御システム)の設定、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の導入、アクセス管理、ログ監視など、多岐にわたるセキュリティ対策の経験が求められます。また、クラウド環境におけるセキュリティグループの設定やIAM(Identity and Access Management)の管理経験も不可欠です。本業でセキュリティインシデントへの対応や、定期的なセキュリティパッチの適用などに携わることで、リスクマネジメント能力と実践的な防御スキルを磨くことができます。副業では、企業のセキュリティ体制強化や、新しいシステムの安全な導入を支援する案件に貢献できるでしょう。
また大手企業で大規模なプロジェクトに携わったり、多様な技術スタックに触れたりすることで、自身の専門性を深め、市場価値を高めることができます。実務経験が豊富であれば、高単価で質の高い副業案件を獲得できる可能性が高まります。まずは数年間、本業でしっかりとスキルと経験を磨くことに注力しましょう。
スキルシートやポートフォリオを準備する
副業案件を獲得するためには、自身のスキルや実績をクライアントに効果的にアピールするための準備が不可欠です。具体的には、詳細なスキルシートとポートフォリオを作成することが求められます。スキルシートには、これまでの職務経歴、担当したプロジェクトの内容、使用した技術スタック、取得した資格などを具体的に記載します。その際に、成果や貢献度を定量的に示すことで、自身の価値を明確に伝えられます。
ポートフォリオは、もし個人で構築したシステムや、ブログでの技術記事、GitHubでのコード公開などがあれば、それらをまとめることで、実際の技術力や問題解決能力を示す強力なツールとなります。これらの準備をしっかりと行うことで、クライアントはあなたの能力を具体的にイメージでき、信頼を得て案件獲得に繋がりやすくなります。
副業先の案件を探す
スキルシートやポートフォリオの準備が整ったら、いよいよ副業案件の探索を開始します。案件を探す主な方法としては、レバテックフリーランスやエクストリームフリーランスのようなフリーランスエージェントを活用するのが一般的です。これらのエージェントは、非公開案件を含む多くの求人情報を持っており、あなたのスキルや希望に合った案件を紹介してくれます。また、クラウドソーシングサイトを利用して、比較的ライトな案件から実績を積んでいく方法もあります。
さらに、知人からの紹介や、自身のSNS、技術ブログを通じた直接営業も有効な手段です。複数のチャネルを並行して活用することで、より多くの選択肢の中から、ご自身のスキルレベル、希望する稼働時間、報酬に合った最適な副業案件を見つけ出すことができるでしょう。
インフラエンジニアが副業を始める際の注意点
インフラエンジニアとして副業を始めることは、自身のスキルアップや収入増に繋がる魅力的な選択肢ですが、いくつか重要な注意点があります。これらを事前に把握し、適切に対処することで、トラブルを未然に防ぎ、安心して副業を継続することができます。
就業規則を確認し副業の許可を取る
インフラエンジニアが副業を始める上で、最初に確認すべきは、本業の企業の就業規則です。多くの企業では副業に関する規定が設けられており、原則禁止されているケースや、申請・許可が必要なケースなど、その内容は多岐にわたります。無許可で副業を行った場合、就業規則違反となり、最悪の場合、解雇や懲戒処分の対象となる可能性も否定できません。トラブルを避けるためにも、まずは就業規則を詳細に確認し、副業が許可されているか、あるいはどのような手続きが必要かを把握しましょう。もし許可が必要な場合は、上長や人事部門に相談し、適切な手続きを踏んで許可を得てから副業を開始することが、安心して働くための大前提となります。
確定申告を忘れないようにする
副業で収入を得た場合、原則として確定申告が必要となります。会社員の場合、通常は会社が年末調整を行ってくれますが、副業による所得が年間20万円を超える場合は、自分で確定申告を行わなければなりません。これを怠ると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。確定申告の際には、副業で得た収入だけでなく、関連する経費(例えば、副業で使用したPCの購入費、書籍代、通信費など)を計上することで、課税所得を減らし、節税に繋げることができます。日頃から収入と支出を記録しておく習慣をつけ、確定申告の時期が来たら、必要書類を準備して忘れずに手続きを行うようにしましょう。税金に関する不明点があれば、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
本業とのバランスに注意する
インフラエンジニアの副業は、本業のスキルアップや収入増に貢献する一方で、本業とのバランスを崩してしまうリスクも潜んでいます。副業に時間を割きすぎると、本業で会社に勤務する際のパフォーマンスが低下したり、疲労が蓄積して体調を崩したりする可能性があります。また、インフラの仕事は突発的なトラブル対応が求められることも多く、副業の稼働時間と重なってしまうと、両方の業務に支障をきたす恐れもあります。無理のない範囲で副業の稼働時間や案件数を調整し、十分な休息を取ることを心がけましょう。本業あっての副業であることを忘れず、自身の健康管理を最優先に考えながら、両立可能な働き方を見つけることが、長期的に副業を続けるための鍵となります。
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