企業の顔として投資家とのコミュニケーションを担うIR(Investor Relations)の仕事は、専門性と経験が求められる一方で、そのスキルを活かして副業という形で新たなキャリアを築くことが可能です。近年、働き方の多様化が進む中で、自身の知識や経験を活かし、収入アップやスキルアップを目指す方が増えています。人手不足から外部の専門人材の力を借りたいというニーズも高まっており、副業案件の数は増加傾向にあります。
しかし、「副業に興味はあるけれど、どのように仕事を探せばよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。本記事では、週1-2日や土日稼働、在宅ワークなど副業に向いた求人案件を探すための方法について解説します。
会社員の副業は、あなたの専門性を活かし、新たな収入源を確保するだけでなく、異なる企業文化や働き方に触れることで、自身のキャリアの幅を広げる絶好の機会となります。以下本文を参考に、あなたも個人事業という新たな一歩を踏み出してみませんか?
IRの副業は稼げる?
IRの副業でお金を稼ぐことはできるのでしょうか。人材需要、副業マッチングの仕組み、収入アップのポイントについてみていきましょう。
IR部門の業務代行・サポート
IR部門の業務代行やサポート系の副業は、企業のIR活動が多忙な時期や、人員が不足している場合にニーズが高まります。例えば、決算発表シーズンにおけるIR資料の作成補助、株主総会の準備・運営サポート、投資家からの問い合わせ対応などが挙げられます。これらの業務は、IRの専門知識というよりも、正確性や事務処理能力、コミュニケーション能力が求められることが多く、比較的取り組みやすい副業と言えるでしょう。しかし、単調な作業が中心となる場合もあり、高収入に直結するとは限りません。時給制や業務委託契約となることが一般的で、自身の時間管理能力や効率性が収入に影響します。
IR経験者にとっては、これまでの知識や経験を活かしつつ、柔軟な働き方を実現できる可能性がありますが、未経験の場合は、まずIR関連の基礎知識を習得することが必須となるでしょう。企業規模や業務内容によって報酬は異なりますが、実績を積むことでより高単価な案件を獲得できる可能性も広がります。
副業マッチングの活用
近年、スキルを持つ人材と企業を結びつける副業マッチングの仕組みが数多く登場しており、IR関連の副業案件も散見されます。エージェントやクラウドソーシングのプラットフォームを活用することで、個人ではなかなかアクセスできなかった企業からの依頼を受けるチャンスが広がります。自身のスキルや経験、希望する働き方などを登録しておけば、条件に合致した案件の紹介を受けることが可能です。
また、過去の評価や実績が公開されることで、企業からの信頼を得やすくなり、より良い条件で契約を結べる可能性も高まります。ただし、プラットフォームによっては手数料が発生する場合や、競争率が高い案件も存在するため、自身の強みを明確にし、効果的なプロフィールの作成や提案を行うことが重要です。複数のサイトに登録し、積極的に情報収集を行うことで、より多くの副業機会を見つけることができるでしょう。
収入アップのポイント
会社員がIRの副業で収入アップを目指すためには、自身の専門性を高め、市場価値を向上させることが欠かせません。例えば、特定の業界やテーマ(ESG、サステナビリティなど)に関する深い知識を習得したり、英語などの語学力を磨いたりすることで、より専門性の高い案件に対応できるようになり、高単価な報酬を得られる可能性が高まります。
また、IRコンサルティングのような戦略立案やアドバイス業務は、より高い専門性と経験が求められるため、収入も高くなる傾向があります。実績を積み重ね、企業からの信頼を得ることも重要です。質の高い仕事を提供し続けることで、リピート依頼や新たな案件の紹介につながりやすくなります。
さらに、積極的に情報発信を行い、自身の専門性をアピールすることも有効です。ブログやSNSなどを活用し、IRに関する知見や実績を発信することで、企業からの注目を集め、新たなビジネスチャンスにつなげることができるでしょう。
IRの副業案件の現状:スキルと単価相場
IRの副業で必要なスキルと報酬の単価相場について紹介します。
業務委託のIR案件で求められるスキル
業務委託のIR案件で企業が求めるスキルは、その案件の具体的な内容によって多岐にわたりますが、共通して重要となるのはコミュニケーション能力です。投資家やアナリスト、社内外の関係者と円滑なコミュニケーションを図り、企業の情報を正確かつ分かりやすく伝える能力は不可欠です。また、財務諸表や経営戦略に関する基本的な知識も求められます。企業の業績や将来性を理解し、それを投資家に適切に説明する力がなければ、効果的なIR活動は行えません。資料作成スキルも重要であり、決算説明資料や株主通信、プレスリリースなど、目的に応じた質の高いドキュメントを作成する能力が求められます。
さらに、IR活動においては、市場の動向や競合他社の状況を常に把握し、分析する能力も重要となります。投資家の関心事を理解し、それに応じた情報提供を行うことで、良好な投資家関係を構築することができます。英語をはじめとする語学力も、海外投資家とのコミュニケーションや英文資料の作成などで強みとなります。近年では、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する知識や情報開示の経験も重視される傾向にあります。
IR案件で副業の単価相場
IR案件における副業の単価相場は、業務内容、必要なスキルレベル、稼働時間、契約形態などによって大きく変動します。例えば、翻訳や資料作成といった比較的定型的な業務であれば、時給換算で3000円程度が相場となることが多いでしょう。一方、IRコンサルティングや戦略立案といった専門性の高い業務になると、時間単価は5000円程度に跳ね上がることもあります。プロジェクト単位で契約する場合、その規模や期間、成果物によって数十万円から数百万円程度の報酬となることもあります。経験豊富なIRプロフェッショナルや特定の分野に強みを持つ人材は、より高単価な案件を獲得しやすい傾向にあります。
副業マッチングプラットフォームなどを見ると、具体的な案件と報酬が提示されているため、自身のスキルや経験と照らし合わせながら相場感を把握することができます。ただし、提示されている単価はあくまで目安であり、個別の交渉によって変動する可能性もあります。自身のスキルや実績を適切にアピールし、適正な報酬を得られるように交渉することが重要です。また、複数の案件を比較検討することで、より条件の良い案件を見つけることができるでしょう。
IRの副業案件の種類
IRの副業で獲得できる案件の種類についてみていきましょう。
IRコンサルティング
IRコンサルティングの副業案件は、企業のIR活動全般における課題解決や目標達成を支援するものです。具体的には、企業の現状分析に基づいたIR戦略の立案、投資家への効果的なコミュニケーション戦略の策定、資本市場の動向や競合他社のIR活動を踏まえたアドバイスなどが含まれます。また、株主構成の分析やターゲット投資家の選定、IRイベントの企画・運営サポートなども担当することがあります。この種の案件では、高度な専門知識と豊富な経験が求められるため、過去にIR部門での実務経験やコンサルティング経験を持つ人材が活躍できるでしょう。
企業の経営層やIR担当者との密な連携が必須であり、的確な分析力、論理的な思考力、そして提案力が重要となります。報酬は比較的高めに設定される傾向がありますが、その分、責任も大きく、企業の株価や評価に直接影響を与える可能性もあるため、高いプロフェッショナル意識が求められます。企業の持続的な成長に貢献できるやりがいのある副業と言えるでしょう。
IRアドバイザー
IRアドバイザーの副業案件は、企業の経営陣やIR担当者に対して、IR活動に関する専門的なアドバイスを提供するものです。コンサルティングよりも、より個別具体的な課題に対する助言や、意思決定のサポートが中心となることが多いでしょう。例えば、新規上場(IPO)準備におけるIR戦略のアドバイス、M&Aにおける投資家向けコミュニケーション戦略の策定、危機発生時のIR対応に関するアドバイスなどが挙げられます。IRの最新動向や法規制に関する深い知識はもちろんのこと、多様な事例に基づいた実践的なアドバイスができる経験が求められます。
経営層の視点を理解し、客観的かつ建設的な意見を提供することで、企業の価値向上に貢献することが期待されます。顧問のような形で定期的に関与するケースや、特定のプロジェクトに対してスポットでアドバイスを行うケースなど、関わり方は様々です。信頼関係を構築し、長期的な視点で企業をサポートできる人材が求められるでしょう。
IR資料の作成・監修
IR資料の作成・監修に関する副業案件は、企業の投資家向けコミュニケーションに必要な各種資料の作成や、既存資料の改善を行うものです。具体的には、決算説明資料、株主通信、統合報告書、事業報告書、プレスリリース、IRウェブサイトのコンテンツなどが挙げられます。これらの資料は、企業の業績や戦略、将来性を投資家に伝えるための重要なツールであり、正確性、分かりやすさ、そして魅力的な表現が求められます。財務諸表の分析能力や、企業のビジネスモデルに関する深い理解はもちろんのこと、デザインやレイアウトに関する知識も役立つことがあります。
また、翻訳や校正のスキルも求められる場合があります。IR部門の人手不足を補う形で依頼されることが多く、比較的取り組みやすい副業と言えるでしょう。ただし、締め切りが厳守されることが多いため、効率的に作業を進める能力が重要となります。企業の顔となる資料作成に貢献できる責任感のある人材が求められます。
IRセミナー・ワークショップ講師
IRセミナー・ワークショップ講師の副業案件は、企業内外の様々な対象者に対して、IRに関する知識やノウハウを共有するものです。対象者は、企業のIR担当者、広報担当者、経営層、あるいは個人投資家などが考えられます。セミナーやワークショップの内容は、IRの基礎知識、情報開示のポイント、投資家との効果的なコミュニケーション方法、ESG投資の動向など多岐にわたります。講師には、IRに関する深い知識と経験に加え、分かりやすく説明するプレゼンテーション能力や、参加者の疑問に的確に答えるコミュニケーション能力が求められます。過去にIR部門での実務経験や、研修講師の経験があると有利でしょう。
教材の作成や準備も講師の役割に含まれることがあります。自身の知識や経験を活かして、企業のIR担当者の育成や、投資家のIR理解促進に貢献できる、やりがいのある副業と言えるでしょう。オンラインでのセミナーやワークショップのニーズも高まっています。
IRの副業案件の探し方
IRの副業案件を探す方法についてみていきましょう。
エージェント
IRの副業案件を探す上で、業務委託の求人を扱う専門のエージェントを活用することは効率的な手段の一つです。特に、高単価で専門性の高い案件を探している場合や、自身のスキルや経験を客観的に評価してほしい場合に有効です。
エージェントは、企業のIR部門が抱えるニーズを把握しており、登録者のスキルや希望条件に合致する案件を紹介してくれます。また、非公開の案件情報を提供してくれる可能性もあります。担当者との面談を通じて、自身のキャリアプランや希望する働き方を伝えることで、より適切な案件とのマッチングが期待できます。
契約交渉や条件面の調整なども代行してくれるため、安心して副業に取り組むことができます。ただし、エージェントによっては特定の分野に強みを持っていたり、手数料が発生する場合もあるため、複数のエージェントに登録し、比較することが重要です。自身のスキルや経験を効果的にアピールできるよう、職務経歴や実績を整理しておくことも大切です。
クラウドソーシング
クラウドソーシングは、インターネットを通じて発注者が幅広い業務を外部に委託する場であり、IR関連の副業案件も掲載されることがあります。例えば、IR資料の作成補助、翻訳、データ分析、記事執筆など、比較的短期間で完結する案件や、特定のスキルを活かせる案件が見つかりやすいでしょう。
クラウドソーシングのメリットは、時間や場所に縛られずに自分のペースで仕事を進められる点や、未経験からでも比較的挑戦しやすい案件が見つかる可能性がある点です。一方で、競争率が高く、単価が低めに設定されている場合や、実績がないと案件を獲得しにくいという側面もあります。そのため、魅力的な提案文を作成したり、過去の実績をアピールしたりする工夫が必要です。
複数のプラットフォームに登録し、こまめに案件情報をチェックすることで、自分に合った副業を見つけることができるでしょう。実績を積み重ねることで、より高単価な案件を獲得するチャンスも広がります。
同僚や知人からの紹介
同僚や知人からの紹介は、信頼性が高く、ミスマッチが少ない可能性のある副業案件の探し方です。特に、IR業界は比較的専門性が高い分野であるため、業界内の人脈を通じて情報が共有されることがあります。過去の同僚や取引先、セミナーやイベントで知り合った人などに、副業を探していることを伝えておくことで、思わぬ案件を紹介してもらえることがあります。
紹介の場合、企業の担当者と直接話ができるため、業務内容や条件などを詳しく確認でき、納得した上で契約に進みやすいというメリットがあります。また、紹介者の信用によって、比較的スムーズに仕事を得られることも期待できます。
日頃から良好な人間関係を築き、積極的に情報交換を行うことが重要です。SNSなどを活用して、業界の動向を把握したり、自身のスキルや関心を発信したりすることも、紹介につながる可能性があります。
直接営業
自身のスキルや経験、専門知識を活かせる企業に対して、直接副業の提案を行うという方法もあります。特に、特定の業界や企業に強い関心があり、貢献できる具体的なアイデアを持っている場合に有効です。企業のIRウェブサイトやIR関連のニュースなどを注意深くチェックし、課題やニーズを見つけ出し、それに対する具体的な解決策を提案することで、企業側の関心を引きやすくなります。提案書やポートフォリオを作成し、自身の強みや実績を明確に伝えることが重要です。
直接営業は、時間や労力がかかる方法ではありますが、自身の裁量で仕事内容や条件を交渉できる可能性があり、高単価な案件を獲得できるチャンスもあります。また、企業との信頼関係を直接構築できるため、長期的な関係につながる可能性もあります。IR関連のイベントや交流会などに積極的に参加し、人脈を広げることも、直接営業の機会を増やす上で有効な手段となります。
IRの副業におすすめのエージェント
IR関連の副業案件探しにおすすめのエージェントを紹介します。
ハイパフォコンサル
ハイパフォコンサルは、高単価のコンサルティング案件に特化したエージェントとして知られています。IR分野においても、高度な専門知識や豊富な経験を持つ人材を求める企業からの依頼が期待できます。戦略策定やM&A関連のIRアドバイザリー、海外投資家対応など、難易度の高い案件が見つかる可能性があります。ただし、求められるスキルレベルも高く、相応の実績や専門性がないと案件獲得は難しいかもしれません。また、週5日稼働の案件が多い傾向にあるため、副業として取り組む場合は、自身の希望する稼働時間を伝えましょう。高収入を目指すプロフェッショナルなIR人材にとって、魅力的な選択肢の一つとなり得ます。
フリーコンサルタント.jp
フリーコンサルタント.jpは、幅広い分野のコンサルティング案件を取り扱っており、IR関連の案件も比較的多く見られます。戦略立案から資料作成、アドバイザリー業務まで、多様なニーズに対応した案件が掲載されている可能性があります。週数日からの稼働が可能な案件や、リモートワークに対応した案件も探しやすいと考えられます。自身のスキルや経験に合わせて、柔軟な働き方を選択できる点が魅力です。また、直接取引など商流の浅い案件もあるため、自身の希望する単価や条件で契約を結べる可能性もあります。多様な働き方を希望するIR人材にとって、選択肢の一つとして検討する価値があるでしょう。
コンサルデータバンク
コンサルデータバンクは、企業とコンサルタントが直接つながるプラットフォームという特徴を持っています。IR関連の副業案件も、仲介手数料なしで企業から直接提案を受けることができる可能性があります。自身のスキルや実績を登録しておくことで、興味を持った企業からスカウトを受けたり、掲載されている案件に直接応募したりすることができます。企業との直接交渉が可能であるため、より自身の希望に近い条件で副業に取り組める可能性があります。また、多様な働き方を支援する案件も見つかるかもしれません。積極的に自身の情報を発信し、企業とのマッチングを図ることで、新たな副業の機会を広げることができるでしょう。
IRの副業求人を探す際のポイント
IRの副業で求人情報を探す際のポイントについて紹介します。
週1〜2日などで対応可能か
IRの副業求人を探す上で、自身の本業との兼ね合いを考慮し、週1〜2日程度の稼働で対応可能な案件であるかどうかは重要なポイントです。本業が忙しい場合や、プライベートな時間を確保したい場合には、柔軟な働き方ができる案件を選ぶ必要があります。求人情報には、想定される稼働日数や時間帯が記載されていることが多いので、しっかりと確認しましょう。もし記載がない場合は、面談や問い合わせの際に、自身の希望する働き方を具体的に伝え、企業側のニーズと合致するかどうかを確認することが大切です。
企業によっては、特定の時期(決算期など)に集中的な稼働を求める場合もあるため、年間を通して無理なく対応できるスケジュールであるかどうかも見極める必要があります。自身のライフスタイルや体力に合わせて、無理のない範囲で貢献できる案件を選ぶことが、副業を長く続けるための秘訣と言えるでしょう。
平日夜、早朝、土日で稼働できるか
本業を持ちながらIRの副業に取り組む場合、平日の夜間、早朝、あるいは土日といった限られた時間を有効活用できる案件であるかどうかは、重要な検討事項となります。求人情報に記載されている勤務時間や曜日を確認し、自身の生活リズムに合わせて無理なく働けるかどうかを検討しましょう。フルフレックスタイム制や、コアタイムのない働き方が可能な案件であれば、より柔軟に時間調整ができます。また、企業によっては、オンラインでのコミュニケーションが中心となる場合や、会議への参加が特定の時間帯に集中する場合もあります。
これらの情報を事前に確認し、自身のスケジュールとの調整が可能かどうかを見極めることが大切です。副業の目的が収入アップだけでなく、スキルアップやキャリアチェンジである場合も、自身の時間を有効活用できる働き方を選ぶことで、無理なく目標達成を目指せるでしょう。
フルリモート・在宅ワークで作業できるか
場所に縛られずに働きたいと考える場合、フルリモートや在宅ワークが可能なIRの副業求人を探すことは重要なポイントとなります。特に、通勤時間を削減したい方や、自宅で集中して作業したい方にとっては、必須の条件と言えるでしょう。求人情報に「リモート可」「在宅勤務」といった記載があるかを確認し、可能であれば、具体的な働き方(会議への参加方法、コミュニケーションツールなど)についても事前に確認しておくと良いでしょう。
ただし、IRの業務内容によっては、社内での情報共有や対面での打ち合わせが必要となる場合もあります。そのため、完全なフルリモートではなく、必要に応じて出社が求められる可能性も考慮しておく必要があります。自身の希望する働き方と、企業の業務遂行に必要な体制とのバランスを見極めることが大切です。
本業と競合しないか
会社員が副業の求人を探す上で、大切なポイントの一つが、本業と競合しないかどうかという点です。副業を行うことが本業の会社の就業規則で禁止されていないかを確認することはもちろん、副業の内容が本業の事業内容や顧客と競合する可能性がないかを慎重に検討する必要があります。競合する可能性のある副業を行った場合、本業の会社との間でトラブルが発生するだけでなく、最悪の場合は懲戒処分の対象となることもあります。また、本業で得た機密情報を副業で利用することは、不正競争防止法に触れる可能性もあります。
副業を始める際には、必ず本業の会社の就業規則を確認し、不明な点があれば人事担当者などに確認するようにしましょう。また、副業の内容についても、事前に本業の会社に相談しておくことが望ましいと言えます。コンプライアンス意識を持ち、本業と副業双方にとって健全な関係を築くことが、安心して副業に取り組むための大前提となります。
IRの副業の始め方
IRの経験をつみ、副業を始める手順についてみていきましょう。
就職して実務経験を積む
IRの副業を始めるための最も確実な第一歩は、まず新卒採用や中途採用でコンサルティング会社、金融期間、企業の管理部門などに就職し、IRに関わる実務経験を積むことです。IR業務は、企業の財務状況、経営戦略、資本市場の動向など、多岐にわたる知識と経験が求められる専門性の高い分野です。IR担当者として、投資家やアナリストとのコミュニケーション、決算説明資料や株主向け広報資料の作成、株主総会の運営、IR戦略の立案・実行など、一連の業務を経験することで、副業に必要な基礎力と応用力を身につけることができます。
実務経験を通じて、投資家がどのような情報を求めているのか、どのようなコミュニケーションが効果的なのかといった実践的なノウハウを習得することが、副業で質の高いサービスを提供するために不可欠です。また、社内外の関係者とのネットワークを構築することも、将来的に副業案件を獲得する上で重要な財産となります。まずはIR部門で数年間経験を積み、確固たるスキルと実績を築くことが、副業成功への近道と言えるでしょう。
スキルシートやポートフォリオを準備する
IRの実務経験を積んだら、次に副業先に対して自身のスキルや経験を効果的にアピールするための準備を始めましょう。具体的には、スキルシートとポートフォリオの作成が重要となります。スキルシートには、これまでの職務経歴、担当したIR業務の内容、実績、保有する資格などを具体的に記載します。特に、どのような規模の企業で、どのような投資家対応や資料作成に携わってきたのかを明確に記述することで、自身の強みを効果的に伝えることができます。
ポートフォリオは、実際に作成したIR関連資料(開示資料、説明資料、プレスリリースなど)や、IR戦略の立案・実行に関わった事例などをまとめたものです。公開可能な範囲で、具体的な成果や貢献度を示すことで、副業先からの信頼を得やすくなります。
これらの準備を丁寧に行うことで、副業案件の応募や交渉を有利に進めることができるでしょう。また、自身のスキルや経験を客観的に整理する過程で、今後のキャリアプランや副業の方向性を改めて見つめ直す良い機会にもなります。
副業先の案件を探す
スキルシートとポートフォリオが完成したら、いよいよ副業先の案件を探し始めます。探し方としては、前述のエージェントやクラウドソーシングプラットフォームの活用、同僚や知人からの紹介、そして企業への直接営業などが考えられます。自身のスキルや経験、希望する働き方(時間、場所、報酬など)に合わせて、最適な方法を選択しましょう。エージェントを活用する場合は、自身のスキルシートやポートフォリオを登録し、エージェントからの紹介を待ちます。クラウドソーシングプラットフォームでは、IR関連の案件を検索し、自身のスキルに合った案件に応募します。
同僚や知人からの紹介は、信頼性が高く、ミスマッチが少ない可能性があります。直接営業は、自身の強みを活かせる企業に積極的にアプローチする方法です。いずれの方法を選ぶにしても、自身のスキルや経験を明確に伝え、副業先企業のニーズをしっかりと理解することが重要です。面談や選考の際には、これまでのIR経験で培った知識やノウハウ、そして副業に対する意欲を積極的にアピールしましょう。
IRの副業を始める際の注意点
会社員がIRの副業を始める際の注意点についてみていきましょう。
就業規則を確認し副業の許可を取る
IRの副業を始める際は、まず本業の会社の就業規則を確認し、副業が許可されているかどうかを確認しましょう。多くの企業では、従業員の副業に関して何らかの規定を設けており、許可制としている場合や、特定の業種・業務との兼業を禁止している場合があります。無許可で副業を行った場合、服務規程違反として懲戒処分の対象となる可能性もあります。そのため、副業を検討し始めた段階で、人事担当部署に相談し、正式な許可を得る手続きを踏むことが大切です。
許可を得る際には、副業の内容、就業時間、本業への支障の有無などを具体的に説明する必要があります。もし就業規則で副業が禁止されている場合でも、状況によっては許可されるケースや、規則の見直しを検討してもらえる可能性もゼロではありません。まずは会社との良好なコミュニケーションを図り、理解と協力を得る努力を怠らないようにしましょう。
確定申告を忘れないようにする
会社員が副業によって収入を得た場合、その所得に対しては確定申告を行う義務が生じます。副業による所得は、給与所得とは異なる所得区分(主に雑所得または事業所得)として扱われ、一定の金額を超えると納税の対象となります。確定申告を怠ると、加算税や延滞税といったペナルティが課せられる可能性があるため、副業を始めたら早い段階から確定申告の準備を始めることが重要です。収入や経費をきちんと記録しておき、必要な書類を揃えて期日内に申告・納税を行いましょう。
確定申告の方法が分からない場合は、税務署の窓口や税理士に相談することをおすすめします。近年では、e-Taxを利用したオンラインでの申告も可能です。副業による収入が増えるほど、確定申告の重要性も増すため、税に関する知識を身につけておくことも大切です。
本業とのバランスに注意する
IRの副業を長く続けるためには、本業とのバランスを適切に保つことが非常に重要です。副業に時間を費やしすぎると、本業に支障が出たり、体調を崩したりする可能性があります。本業と副業のスケジュールをしっかりと管理し、無理のない範囲で副業に取り組むように心がけましょう。特に、IRの業務は繁忙期と閑散期が明確な場合もあるため、時期によって副業の量を調整することも検討が必要です。
また、副業で得た知識や経験を本業に活かすことができれば、相乗効果も期待できますが、本業の機密情報を副業で漏洩させるような行為は絶対に避けなければなりません。常にプロフェッショナルとしての意識を持ち、本業と副業双方に対して責任ある行動をとることが大切です。家族や周囲の理解と協力を得ることも、バランスを保つ上で重要な要素となるでしょう。
コメント