「本業で培ったSalesforceのスキルを、空いた時間でもっと活かせないだろうか?」「週1〜2日、あるいは土日だけの在宅ワークで収入を増やしたい」。もし、あなたがそう考えているなら、業務委託案件を獲得して報酬を稼ぐ副業は最適な選択肢かもしれません。
SFA構築のできる人材の需要は高く、多くの企業が専門知識を求めています。そのため、副業であっても柔軟な働き方が可能な求人案件が数多く存在します。
この記事では、Salesforceの副業事情のリアルと、「週1〜2日」や「土日稼働」といった条件で理想の副業案件を見つけるための求人の探し方について紹介します。
Salesforceの副業事情
Salesforceの副業でお金を稼ぐことはできるのでしょうか。人材需要、副業マッチングの仕組み、収入アップのポイントについて紹介します。
導入・開発・運用
Salesforceの副業案件は、プロジェクトのライフサイクルに応じて「導入・開発・運用」の大きく3つのカテゴリーに分類されます。まず「導入」フェーズの案件は、クライアントのビジネス課題をヒアリングし、Salesforceを用いてそれをどう解決するかを設計するという上流の工程を担います。業務プロセスの分析、要件定義、システム設計、初期設定などが主な業務となり、コンサルティングの要素が非常に強いのが特徴です。技術力以上に、クライアントの課題を引き出すコミュニケーション能力と業務理解力が求められます。
次に「開発」案件は、Salesforceの標準機能だけでは対応できない複雑な要求に応える領域です。Apex言語を用いたカスタムロジックの実装、LWC(Lightning Web Components)による独自のユーザーインターフェース構築、外部システムとのAPI連携開発などが中心となります。高度な専門知識と技術力が必要なため、副業案件の中でも高単価が期待できます。
「運用・保守」案件は、導入後のシステムを安定稼働させ、ビジネスの変化に合わせて最適化していく継続的な支援を指します。ユーザーアカウントや権限の管理、レポート・ダッシュボードの作成、フローを用いた業務プロセスの自動化、ユーザーからの問い合わせ対応、トレーニングの実施などが含まれます。開発スキルが必須でない案件も多く、Salesforce管理者としての経験を活かせるため、副業として始めやすい領域と言えます。
副業マッチングの活用
Salesforceの専門スキルを活かした副業案件を効率的に探すには、専門のマッチングサービスを活用することが現実的かつ確実な手段です。これらのサービスは、大きく「副業・フリーランス専門エージェント」と「クラウドソーシング」の2種類に大別されます。エージェントサービスは、ITエンジニアやコンサルタントの副業・フリーランス案件に特化しており、Salesforceの高単価案件を豊富に保有しています。「週1〜2日稼働」「土日のみ」「フルリモート」といった、本業との両立を前提とした柔軟な条件を伝えて仕事を探すとよいでしょう。
エージェントの強みは、自身のスキルや希望条件を登録するだけで、専門のアドバイザーが最適な案件を提案し、面倒な営業活動や単価交渉、契約手続きまで代行してくれる点です。これにより、副業希望者は業務そのものに集中できます。
一方、クラウドソーシングは、「特定のレポートを作成してほしい」「このフローを修正してほしい」といった、単発または小規模なタスクベースの案件を探すのに適しています。報酬単価はエージェント経由よりも低くなる傾向がありますが、まずは副業の実績を作りたい、あるいは隙間時間でスポット的に対応したいという場合に有効です。自身のスキルレベルや確保できる時間、希望する働き方に合わせて、これらのプラットフォームを戦略的に使い分けることが成功の鍵となります。
稼ぐためのポイント
Salesforceの副業で継続的に報酬を得るためには、いくつかの戦略的なポイントがあります。重要視されるのは、本業で培った「実務経験」です。一般的に、3年以上の実務経験があると案件の選択肢が格段に広がり、高単価な案件を獲得しやすくなります。単に機能を使えるだけでなく、要件定義から携わった経験や、複雑なカスタマイズ・連携プロジェクトを完遂した実績は、市場価値を大きく高めます。
次に、客観的なスキル証明として「認定資格」の取得が挙げられます。認定アドミニストレーターやPlatform アプリケーションビルダー、Platform デベロッパーといった基本資格は、最低限の知識を持つ証明になります。さらに上位のコンサルタント資格やアーキテクト資格を保有していれば、クライアントやエージェントからの信頼度が飛躍的に高まり、単価交渉も有利に進められます。
また、Salesforceは製品群が広いため、自身の「専門領域」を明確にすることも極めて重要です。「Sales Cloudの導入と定着化支援が得意」「Apex開発とAPI連携に強い」「Marketing Cloud Account Engagement (旧Pardot) の設定なら任せてほしい」といった形で専門性を打ち出すことで、他の競合と明確に差別化できます。
これらの専門スキルに加え、副業はリモートワークが基本となるため、こまめな報告・連絡・相談といったコミュニケーション能力や、納期を厳守する自己管理能力が、信頼を勝ち取り、継続的な案件獲得に直結する不可欠な要素です。
Salesforce副業案件の現状:スキルと単価相場
Salesforceの副業で必要なスキルと報酬の単価相場について紹介します。
業務委託のSalesforce案件で求められるスキル
業務委託、特に副業としてのSalesforce案件では、クライアントから即戦力として期待されるため、指示待ちではなく自走できる高度な専門スキルが求められます。最低限、Salesforce認定アドミニストレーターレベルの知識は前提となり、オブジェクト設計、フロー構築、権限設定、レポート作成といった標準機能の設定・カスタマイズを一人で完結できる能力が必要です。さらに高単価な開発案件を目指す場合は、Apex言語やLWC(Lightning Web Components)を用いたプログラミングスキル、外部システムと連携させるためのAPIに関する知識が必須となります。単にコードが書けるだけでなく、クライアントの曖昧な要望を整理し、Salesforceのベストプラクティスに基づいた最適な設計に落とし込む能力が重視されます。
また、副業案件の多くはフルリモートで実施されるため、技術スキル以上に「ソフトスキル」が成功を左右します。テキストベースでの的確なコミュニケーション能力、クライアントの業務プロセスや業界知識を迅速にキャッチアップする理解力、そして納期を厳守する自己管理能力は不可欠です。本業の傍らであっても、能動的に課題を発見し、改善策を提案できるコンサルティング的な視点を持つ人材が、継続的に案件を獲得しています。
Salesforce副業案件の単価相場
Salesforceの副業案件は、他のIT系副業と比較しても単価相場が高い水準にあります。これは、Salesforceが多くの企業の基幹システムとして導入されており、そのカスタマイズや運用には高度な専門知識が不可欠であるためです。具体的な相場は、案件の内容と稼働時間によって大きく変動します。例えば、フローの構築やダッシュボード作成、運用保守といったアドミニストレーター(管理者)寄りの業務では、週10時間(週1〜2日)程度の稼働で月額10万円から20万円程度が目安となります。
一方、ApexやLWCを用いた開発・カスタマイズが求められるエンジニア向けの案件や、要件定義から関わるコンサルティング案件の場合、同じく週1〜2日の稼働でも月額20万円から40万円、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。
時給換算では5,000円を超える案件も多く、実務経験が3年以上あり、開発スキルや上流工程の経験を保有していれば、週2日の稼働で月収30万円以上を得ることも十分に可能です。このように、自身のスキルセットと確保できるリソースを明確にすることで、本業の収入を大幅に補完できる収益性の高い副業を実現できるのが、Salesforce案件の大きな魅力です。
Salesforce副業案件の種類
Salesforceの副業で獲得できる案件の種類について紹介します。
開発・カスタマイズ
開発・カスタマイズ案件は、Salesforceの専門性が最も問われる分野です。主な業務は、標準機能では対応できない複雑な要件を実装することであり、具体的には独自のプログラミング言語であるApexを用いたロジック構築や、LWC(Lightning Web Components)を使ったカスタム画面の開発が含まれます。また、外部システムとSalesforceを連携させるためのAPI連携開発も需要が高いです。高い技術力が求められるため、副業案件の中でも単価が高額になる傾向があり、実務での開発経験が豊富なエンジニア向けの案件と言えます。
設定・運用保守
設定・運用保守は、プログラミングを伴わない「クリック操作」が中心の案件です。導入済みのSalesforce環境を、日々の業務に合わせて最適化し、安定稼働を支える役割を担います。具体的には、フローを用いた業務プロセスの自動化、レポートやダッシュボードの作成・修正、ユーザーアカウントや権限の管理、データのインポート作業などが含まれます。開発案件ほどの高度な技術は不要ですが、Salesforceの標準機能を幅広く熟知している必要があります。継続的なサポートが多いため、安定した副業収入に繋がりやすいのが特徴です。
導入支援・コンサルティング
導入支援・コンサルティング案件は、クライアントのビジネス課題をヒアリングし、Salesforceを用いてどう解決するかを設計する「上流工程」が中心です。中小企業や特定部門への新規導入プロジェクトにおいて、要件定義の整理や、どの機能をどのように使うかの設計(システムデザイン)を支援します。また、プロジェクトマネージャー(PM)として進捗管理をサポートする場合もあります。技術力以上に、業務プロセスを理解する能力や高いコミュニケーション能力が求められます。単価も高いですが、クライアントとの会議が平日に設定されることもあり、本業との調整が必要なケースもあります。
トレーニング・ヘルプデスク
トレーニング・ヘルプデスクは、Salesforceを導入したものの、社内で活用しきれていない企業を支援する案件です。主な業務は、利用者向けの操作説明会(トレーニング)の実施、業務フローに合わせたマニュアルの作成、そして日々の運用で発生する「使い方が分からない」といった問い合わせに対応するヘルプデスク業務です。システムの定着化を促進する重要な役割を担います。高度な開発スキルは不要ですが、Salesforceの基本操作を熟知し、ユーザーの疑問に分かりやすく答える丁寧なコミュニケーション能力が求められます。
Salesforce副業案件の探し方
Salesforceの副業で案件を探す方法について紹介します。
エージェント
副業・フリーランス専門のエージェントを活用する方法は、Salesforce案件を探す上で効率的かつ高単価を狙える手段です。ITエンジニアやコンサルタントに特化したエージェントに自身のスキルや実務経験を登録すると、専門のキャリアアドバイザーが希望条件に合致した案件を提案してくれます。「週1日稼働」「土日のみ」「フルリモート」といった柔軟な働き方が可能な非公開案件を保有しているのが強みです。
また、面倒な営業活動やクライアントとの単価交渉、契約手続きまで代行してくれるため、副業希望者は本業と並行しながらでもスムーズに案件を開始できます。自身の市場価値を客観的に把握できるメリットもあり、継続的に高単価案件を獲得したい人に最適です。
クラウドソーシング
クラウドソーシングサイトは、「レポートを1つ作成してほしい」「特定のフローを修正してほしい」といった、比較的規模の小さい単発(スポット)案件を探すのに適しています。エージェント経由の案件に比べて報酬単価は低くなる傾向がありますが、プロジェクト単位で契約できるため、短期間で実績を作りたい場合や、本業の隙間時間を活用して柔軟に働きたい場合に便利です。
Salesforceの経験がまだ浅い方でも応募可能な案件が見つかることもあり、副業の第一歩として実績を積む場としても活用できます。ただし、多数の応募者との競争になることや、クライアントとの直接交渉が全て自己責任となる点には留意が必要です。
知人からの紹介
本業の職場や過去の取引先、Salesforce関連のコミュニティで築いた人脈を通じて、知人から直接案件を紹介してもらう方法です。リファラル(紹介)採用に近い形で、すでにお互いの信頼関係があるため、スムーズに仕事を開始できる可能性が高いのが最大のメリットです。また、エージェントなどの中間マージンが発生しないため、比較的好条件での契約が期待できます。
日頃からSalesforceの勉強会やイベントに参加して人脈を広げたり、LinkedInなどのSNSで自身のスキルや実績を発信したりすることで、こうした紹介の機会を増やすことができます。副業を探していることを周囲に公言しておくことも重要です。
直接営業
自身のスキルや実績をまとめたポートフォリオ(職務経歴書)を用意し、Salesforceを導入している企業や、導入支援を行っているパートナー企業に直接営業をかける方法です。これは最も能動的な探し方であり、営業力や交渉力が求められます。例えば、企業のウェブサイトを見てSalesforceの活用が不十分だと感じた場合、具体的な改善提案と共に業務委託を申し出るケースなどが考えられます。
また、Salesforceパートナー企業に対して、特定のプロジェクトや繁忙期のリソース不足を補う「業務委託エンジニア」として自身を売り込むことも可能です。成約までのハードルは高いですが、仲介者がいないため最も高い報酬を得られる可能性があります。
Salesforce副業におすすめのエージェント
Salesforceの副業探しにおすすめのエージェントを紹介します。
レバテックフリーランス
レバテックフリーランスは、ITフリーランスエージェントとして業界最大級の知名度と案件数を誇ります。Salesforce案件も豊富に取り揃えており、その多くが高単価である点が魅力です。フリーランス向けが中心ですが、「週2〜3日稼働」や「フルリモート可」といった副業に適した柔軟な案件も多数扱っています。専門知識を持つコーディネーターがスキルや希望条件を詳細にヒアリングし、最適なプロジェクトを提案してくれます。また、契約更新率の高さや手厚いフォロー体制にも定評があり、初めて副業エージェントを利用する人でも安心して活用できる、信頼性の高いサービスです。
エクストリームフリーランス
エクストリームフリーランスは、東証グロースに上場する株式会社エクストリームが運営する、ITエンジニアやデジタルクリエイター専門のエージェントです。特にゲーム業界やWebサービス業界との強いつながりを活かした独自の案件を保有している点が特徴です。Salesforce案件においても、これらの業界特有のカスタマイズやシステム連携といった、他では見つかりにくいプロジェクトに出会える可能性があります。高単価な直請け案件や、週3日程度の稼働が可能な副業案件も扱っており、自身の専門性を特定の業界で活かしたいエンジニアに適しています。
コンサルデータバンク
コンサルデータバンクは、その名の通りITコンサルタントやデータサイエンティストといった高度専門人材に特化したマッチングプラットフォームです。Salesforce案件においても、単なる開発や運用保守ではなく、導入戦略の策定、要件定義、業務プロセス改善といった最上流工程のコンサルティング案件が中心となります。週1回のミーティングや顧問契約といった「スポットコンサル」形式の副業案件も多く、本業で培ったコンサルティング経験やPMスキルを活かしたい上級者に最適です。非常に高単価な案件が揃っており、自身の専門性を最大限に評価してもらいたい人向けのサービスと言えます。
Salesforce副業求人を探す際のポイント
週1日、土日稼働、在宅ワークなど副業に向いたSalesforceの求人を探す際のポイントについて解説します。
週1〜2日などで対応可能か
Salesforceの副業求人を探す際、本業との両立を前提とするならば、稼働日数の柔軟性は重要な確認ポイントです。フルタイム勤務をしながら副業を行う場合、現実的な稼働時間は「週1〜2日」程度(週8〜16時間)が上限となることが多いためです。Salesforce案件は高い専門性が求められる分、短時間稼働でも高い価値を提供でき、企業側も「フルタイムで雇用するほどではないが、専門家のアドバイスが欲しい」といったニーズを持つケースが少なくありません。そのため、エージェントやマッチングサイトでは「週2日〜」「週10時間程度」といった柔軟な稼働が可能な求人が豊富に見つかります。
運用保守の技術顧問、スポットでの開発支援、設定の最適化といった業務は、短時間でも成果を出しやすい領域です。求人を探す際は、この最低稼働日数の条件が自身の確保できるリソースと合致しているかを最優先で確認し、無理なく長期的に継続できる案件を選ぶことが副業成功の鍵となります。
平日夜、早朝、土日で稼働できるか
本業が平日の日中にある場合、副業に充てられる時間は必然的に平日夜、早朝、または土日祝日となります。そのため、これらの時間帯での作業を許可しているかは、求人選定における必須の確認事項です。Salesforceの業務、特に開発、カスタマイズ、設定作業の多くは、PCとインターネット環境さえあれば時間や場所を選ばずに行えます。そのため、求人情報に「作業時間はフレキシブル」「コアタイムなし」といった記載がある案件は、副業に最適と言えます。ただし、クライアントとの打ち合わせや要件定義のヒアリングは、先方の業務時間である平日の日中に行われることが一般的です。
したがって、現実的には「ミーティングは平日日中に調整必須だが、それ以外の実作業は夜間・土日可」といった条件の案件が多くなります。自身の本業の状況(例:日中に短時間の休憩や中抜けが可能か)も考慮し、柔軟な働き方ができる求人かを見極めることが重要です。
リモートワークで作業できるか
副業を効率的に行い、本業との両立を成功させるためには、通勤時間をゼロにできるリモートワーク(在宅勤務)が可能であることは、ほぼ必須の条件と言えます。Salesforceは100%クラウドベースのプラットフォームであるため、業務の性質上リモートワークと非常に高い親和性を持っています。開発、設定、運用保守、コンサルティングといったほとんどの業務は、インターネット環境さえあればどこからでも遂行可能です。実際に、Salesforceの副業案件の多くが「フルリモート可」を前提に募集されています。求人を探す際には、必ず「リモートOK」「在宅勤務」を検索条件に設定し、効率的に案件を絞り込みましょう。
ただし、稀にプロジェクトのキックオフミーティングや、重要な要件定義のフェーズのみオンサイト(出社)での参加を求められる場合があります。契約前に、全ての業務がフルリモートで完結するのか、それとも一部出社が必要なのかは、明確に確認しておく必要があります。
本業と競合しないか
Salesforceの副業を探す上で、技術的なスキルマッチング以上に注意しなければならないのが、本業との競合避止義務です。まず大前提として、本業の就業規則で副業が許可されているかを確認する必要があります。その上で、副業として関わる案件が、本業の会社の利益と相反しないか(競合しないか)を慎重に判断しなければなりません。例えば、本業がSalesforceの導入支援を行うパートナー企業(SIer)である場合、同業他社のプロジェクトに副業で参加することは、本業のノウハウ流出とみなされ、深刻なトラブルに発展するリスクが極めて高いです。このような事態を避けるためには、本業とは異なる業界のエンドユーザー企業(事業会社)の社内システム運用支援を選ぶなど、利害関係が発生しにくい案件を選ぶのが賢明です。
契約前には、本業の会社名や業務内容を副業先に(守秘義務に配慮しつつ)開示し、競合にあたらないかを双方で確認することが、安心して副業を続けるための重要なステップとなります。
Salesforce副業の始め方
Salesforceの経験をつみ副業を始める方法についてみていきましょう。
就職してSalesforceの実務経験を積む
Salesforceの副業は高い専門性が求められるため、未経験から案件を獲得するのは非常に困難です。クライアントは資格の有無よりも「実務で何ができるか」を重視する即戦力を求めています。そのため、副業を始める最も確実なステップは、まずSalesforceを導入している事業会社(エンドユーザー)の社内管理者や、導入を支援するパートナー企業(SIer)に就職・転職することです。そこで実務経験を積むことが、副業で活躍するための最短ルートとなります。
日々の業務を通じて、標準機能のカスタマイズ、フロー構築、Apex開発、他システム連携など、具体的な業務課題を解決した「生きた経験」を蓄積します。最低でも2〜3年の実務経験を積むことで、自信を持って副業案件に応募できるスキルが身につき、クライアントからの信頼も得やすくなります。
スキルシートやポートフォリオを準備する
実務経験を積んだら、次は自身のスキルと実績を客観的に証明するための資料を準備します。具体的には「スキルシート(職務経歴書)」と「ポートフォリオ」です。スキルシートには、扱えるSalesforce製品(Sales Cloud, Service Cloudなど)、ApexやLWC、Flowといった技術要素の習熟度、そして過去に関わったプロジェクトの概要(期間、業種、自身の役割、担当業務)を詳細に記載します。エージェントやクライアントは、これを見て「何を任せられるか」を判断します。
さらにポートフォリオとして、守秘義務に違反しない範囲で、自身が構築した複雑なフローの設計図、作成したダッシュボードのサンプル、学習用に作成したデモ環境の成果物などをまとめると説得力が増し、技術力を具体的にアピールできます。
副業先の案件を探す
スキルシートの準備が整ったら、実際に案件を探し始めます。最も効率的で高単価を狙いやすい方法は、ITフリーランスや副業に特化した「エージェントサービス」に登録することです。これらのエージェントは、「週1〜2日稼働」「フルリモート可」といった副業に適した非公開案件を多数保有しており、スキルに見合った案件の紹介から単価交渉、契約手続きまで代行してくれます。次点で「クラウドソーシング」サイトの活用も有効です。こちらは「レポートを1つ作成」といった単発・小規模な案件が多いため、副業の「実績作り」として始めやすいのが特徴です。
また、本業の取引先やSalesforceコミュニティで築いた人脈から、知人経由で仕事を紹介してもらうケースも少なくありません。
Salesforceの副業を始める際の注意点
Salesforceの副業を始める際の注意点について解説します。
就業規則を確認し副業の許可を取る
Salesforceの副業を始める前に、何よりもまず本業の勤務先における就業規則を詳細に確認することが欠かせません。多くの企業では、副業・兼業に関する規定が設けられています。全面的に禁止されている場合、許可制の場合、あるいは届出制の場合など、その内容は様々です。特に許可制の場合は、副業を始める前に必ず所属長や人事部門に申請し、書面などで正式な許可を得る必要があります。この手続きを怠ると、後に副業が発覚した場合、就業規則違反として懲戒処分の対象となるリスクがあります。また、副業が許可されている場合でも、「競合他社での就労禁止」や「本業の信用を毀損しないこと」といった制約が設けられているのが一般的です。
Salesforceのスキルを活かす副業は、本業の取引先や競合企業と関わる可能性もあるため、どの範囲までが許可されるのかを明確にしておくことが、トラブルを未然に防ぐ上で最も重要です。
確定申告を忘れないようにする
副業によって得られる所得が一定額を超えた場合、会社員であっても個人で確定申告を行う義務が発生します。具体的には、副業で得た収入から経費(PC代、通信費、書籍代など)を差し引いた「所得」の金額が、年間で20万円を超える場合に確定申告が必要です。Salesforceの副業案件は単価が高い傾向にあるため、週1〜2日の稼働でも年間20万円を超えるケースは少なくありません。確定申告の期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までであり、申告漏れが発覚すると、本来納めるべき税額に加えて無申告加算税や延滞税といったペナルティが課される可能性があります。
副業を始めた年から、収入や経費に関する領収書や請求書は必ず保管し、帳簿付けを行う習慣をつけましょう。会計ソフトなどを活用し、必要な手続きを漏れなく行うことが重要です。
本業とのバランスに注意する
Salesforceの副業は専門性が高く高単価なため、つい多くの案件を引き受けてしまいがちですが、本業とのバランスを崩さないよう細心の注意が必要です。副業に時間を割きすぎた結果、本業で疲労によるミスが増えたり、パフォーマンスが低下したりしては元も子もありません。また、納期に追われて睡眠時間を削る生活が続くと、心身の健康を害する恐れもあります。副業を始める際は、まず「週10時間まで」「平日の夜2時間と土曜の半日」といったように、自身が無理なく継続できる稼働時間の上限を明確に決めることが肝心です。
ダブルワークに慣れないうちは、余裕を持ったスケジュールで案件を引き受け、本業と副業、そしてプライベートの時間のバランスを保つことを最優先に考えるべきです。健全なバランスを保つことが、結果として副業を長く続ける秘訣となります。

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