BIエンジニアとは?役割・業務内容・スキル・年収・資格・将来性

エンジニア

BIエンジニアは、ビジネスインテリジェンス(BI)システムの構築と運用を担当するデータ専門家です。彼らの主な役割は、データの可視化を行い、ビジネス上の意思決定や戦略策定に貢献することです。BIツールを使用し、ダッシュボードやレポートを作成し、データから得られる洞察をユーザーへと提供します。BIエンジニアにはデータ分析、SQL、ETL、ビジュアライゼーションなどのスキルが求められます。

BIエンジニアの年収は経験や地域によって異なりますが、IT業界のなかでも中~高水準の収入を期待できるポジションです。資格としては、TableauやPower BIなどのベンダー認定資格があります。また、BIエンジニアの需要は高く、データ利活用の普及とともに世の中でも認知が拡大しています。

この記事では、そんなBIエンジニアの仕事や給与相場、キャリアパス、将来性などについてわかりやすく解説していきます。

BIエンジニアとは

BIエンジニアは、その名の通りBI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)の企画や導入、運用に携わる技術者の総称です。代表的なBIツールとして、Tableau、Power BI、Lookerが挙げられます。BIエンジニアはこれらのツールを使用して、ユーザーに直感的な操作性を提供し、データの可視化やレポート作成を容易にします。また、異なるデータソースからのデータ統合やデータ処理を自動化し、効率的なデータ分析を実現します。さらに、リアルタイムなデータ表示やダッシュボード機能により、経営層の意思決定や迅速なアクションをサポートするのです。

BIエンジニアの役割

BIエンジニアは、利用目的に基づいてデータを統合し、レポートやダッシュボードを作成し、データ分析と洞察を提供する役割を担当します。データの正確性、信頼性、セキュリティに責任を持ちながら、ユーザーの意思決定をサポートするBI技術のスペシャリストといえます。

BIコンサルタントとの違い

BIエンジニアは技術のスペシャリストとして、BIツールの導入やシステム構築、保守運用に従事します。一方、BIコンサルタントはより戦略的な視点で顧客のビジネスを分析し、要件定義やBI導入のコンサルティングを行います。主にBIベンダーから提供されるパッケージ製品を活用して環境を構築するため、特定の製品に対する経験や理解を要求される点は両者に共通します。また、組織のBI導入に貢献する点も同様です。

BIエンジニアは、BIの技術的な面に焦点を当てた専門家であり、設計やツールへの実装、ダッシュボードやレポート作成などの技術的なタスクを担当します。プロジェクトの規模によっては、同じ人がBIエンジニアとBIコンサルタントを兼ねることもあります。

BIとは

BI(ビジネスインテリジェンス)とは、ビジネスにおいてデータを収集・分析し、意思決定に活用する手法やツールのことを指します。BIは企業内のさまざまなデータソースから情報を抽出し、それをグラフやチャートとして視覚化することで、ビジネス上のインサイトを明らかにします。BIの目的は、レポーティングを通してユーザーに意思決定の根拠を提供し、ビジネスパフォーマンスの向上を促進することです。BIはデータウェアハウス、ETL/ELT、データ可視化、ダッシュボード作成などの手法やツールを組み合わせて実現されます。

BIエンジニアの業務内容

BIエンジニアは、BIツールを駆使して、組織の意思決定に役立つレポートやダッシュボードを構築します。一般的な業務内容について以下で説明します。

要件定義

BIツールを使用して具体的なレポートや管理画面、ダッシュボードを作成する前に、ビジネス上の要件を明確に定義します。どのデータや指標が必要か、優先順位をどうするか、どのような洞察が求められるかを把握します。

データソースの接続

表示に関する要件が確定したら、レポートで使用するデータソースを選定し、BIツールとの接続を確立します。データベース、クラウドサービス、APIなどを使用してデータを取得します。

データの準備と変換

データを取得した後、必要に応じてデータのクレンジングや変換を行います。データの正規化、欠損値の処理、集計などを行い、データパイプラインを整備して、分析に適した形式にデータを整形します。

レポートのデザイン

BIツールで表現するレポートのレイアウトと視覚化要素を設計します。グラフ、チャート、指標、テーブルなどの要素を適切に配置し、ユーザーがデータを理解しやすくします。

データの視覚化

データを選択した視覚化要素にマッピングし、ダッシュボードに組み込みます。グラフの作成、フィルタリング、ドリルダウンなどのインタラクティブな機能を追加し、ユーザーがデータを自由に探索できるようにします。

アクセス権限の設定

BIツールで作成したレポートやダッシュボードのアクセス権限を設定します。ユーザーグループやロールに基づいて、特定のユーザーが必要な情報にアクセスできるようにします。

公開と共有

完成した画面を関係者に公開し、共有します。利用方法について説明やレクチャーを行った後は、BIツールの機能を活用して、ダッシュボードの共有設定やスケジュールの設定を行います。

運用

運用開始後はエラーやバグをテストし、業務での活用状況をモニタリングします。必要に応じて追加のレポートを作成したり、修正や改善を行います。ユーザーからのフィードバックを収集し、使いやすさと有用性を向上させます。

これらの手順を経て、BIツールを使用したレポートやダッシュボードを実装することができます。

BIエンジニアに必要なスキル

BIエンジニアには、以下のようなスキルが求められます。

データベースとデータウェアハウス

BIツールに連携するデータソースを用意するために、データベースの設計と管理、データウェアハウスの構築と運用に関する知識が必要です。また、SQLでのデータ抽出・加工に習熟していることが重要です。

ETL(Extract,Transform,Load)

データの抽出、変換、読み込みに関するスキルも求められます。ETLツールの選定、データの統合とクレンジング、データパイプラインの設計と実装などが含まれます。

データビジュアライゼーション

データを視覚化して意味のある情報を提供するためのビジュアライゼーションのスキルが求められます。職場で採用されるBIツール(Tableau、Power BI、QlikViewなど)の使用経験は必須となるでしょう。また、データ分析と統計の基本的な知識も求められます。

コミュニケーション能力

BIツールの実装には、関係者とのコミュニケーションが必要です。ビジネス要件を理解し、状況ををわかりやすく伝えるために効果的な意思疎通のスキルが求められます。

これらのスキルセットを持つことで、BIエンジニアはデータの収集、統合、分析、可視化、レポート作成などの業務を効果的に遂行することができます。

BIエンジニアの年収

BIエンジニアの年収は、500から800万円程度が目安となります。新卒入社して数年や未経験から中途採用の場合は、年収300から400万円の場合もありますが、経験豊富なシニアレベルのBIエンジニアや、PM、大規模なプロジェクトに携わるエキスパートは、1000万円以上の年収を得ることもあります。

ただし、上記の数字はあくまで一般的な目安であり、個別のケースによって異なる可能性があります。特に、企業の業界や規模、地域の経済状況、需要と供給のバランスなどの要素も考慮する必要があります。

さらに、給与には基本給やボーナス、福利厚生、特典などの要素が含まれることもあります。そのため、給与交渉や詳細な情報は個別の企業や求人に基づいて確認することが重要です。

BIエンジニアになるには

ここからは、BIエンジニアになる方法についてみていきましょう。以下で3つのパターンを説明します。

新卒でBIエンジニアとして入社する場合

適切な学士号(情報科学、データサイエンス、統計学など)を取得するか、関連する分野での学位を取得します。そして、就職活動では大学のキャリアフェアやガイダンスに参加し、BIエンジニアのポジションを探し、新卒採用の求人情報に応募します。また、BIエンジニアの募集をおこなう企業とつながりを作るには、早期からインターンシップや就業プロジェクトに参加して、実践的な経験を積んでおくと良いでしょう。データ分析、データベース、プログラミングなどのスキルを学ぶために、オンラインコースやトレーニングプログラムを受講することも有効です。

中途でBIエンジニアとして入社する場合

第二新卒や既卒枠での採用は、ポテンシャルが重視されますが、それ以降の中途採用は基本的に経験者を募集する傾向にあります。よって、未経験から中途採用でBIエンジニアとして内定するには、関連する経験とスキルを持つことが重要です。そのため、自己学習やオンラインコースを活用して、不足しているスキルの習得が必要です。一度エンジニアに転職して、データベース管理やプログラミング、ETLなどの経験を積むことも有効です。求人サイトやエージェントでBIエンジニアの求人情報を探し、職務経歴書に学習内容や取得した資格を記載したうえで提出します。

採用後にジョブチェンジする場合

新卒や中途で入社後に、別の職種からBIエンジニアになることもできます。ただし、この場合もデータ関連のプロジェクトやタスクに参加し、BIエンジニアのスキルを発揮するための素養は必要です。業務外での自習も含めデータ可視化やデータ処理の経験を積むことが重要です。書籍、オンライン講座などの自己学習プラットフォームを活用して、BIエンジニアのスキルを学びます。そのうえで、組織内のチームや上司とのコミュニケーションを通じて、BIエンジニアの役割に関心を持っていることを示します。両者の思惑が合致すれば、他のチームやプロジェクトへの異動する機会を得ることができるでしょう。

これらを組み合わせて、BIエンジニアとしてのキャリアを築くことができます。自己学習や実践的な経験の積み重ね、求人情報の探索と応募、そしてコミュニケーションや関係構築の能力が成功を後押しするでしょう。

BIエンジニアの資格

ここからは、BIエンジニアを目指す際や、なった後に役立つ資格について解説します。

Tableau Desktop Certified Associate

Tableau Desktop Certified Associateは、Tableauのデータ可視化ツールであるTableau Desktopの認定資格です。この資格は、Tableau Desktopを使用してデータを分析し、ビジュアライズする能力を証明するものです。試験では、データの接続、データの準備、視覚化、計算フィールドの作成など、Tableau Desktopの基本的な機能やテクニックに関する問題が出題されます。

Power BI データアナリスト アソシエイト

Power BI データアナリスト アソシエイトは、Microsoft Power BIを使用してデータの分析とビジュアライゼーションを行う能力を証明するマイクロソフトの認定資格です。試験では、データのクレンジング、モデリング、ビジュアライゼーション、DAX(Data Analysis Expressions)の使用など、Power BIの基本的な機能やテクニックに関する問題が出題されます。

BIエンジニアのキャリアパス

BIエンジニアのキャリアパスとしては様々な方向性が考えられますが、ここでは3つのパターンを紹介します。

BIコンサルタント

BIエンジニアの技術的な知識と経験を活かし、顧客やクライアントに対してBIソリューションの提案やコンサルティングを行う「BIコンサルタント」になるキャリアプランです。ビジネスニーズの分析や要件定義をおこなったうえで、データアーキテクチャ、ダッシュボードの設計、レポート作成など、クライアントのビジネス要件に合わせたソリューションを提供します。プロジェクトマネージャーやデータアーキテクトとも連携し、プロジェクトの成功を支援するポジションです。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネジメントのスキルを磨き、BIプロジェクトの計画、実行、監視、制御を担当するPMやPLを目指すキャリアパスです。全体をとりまとめる管理者としてプロジェクトの目標や要件を理解し、チームのリソースを調整し、スケジュールと予算の管理を行います。BIエンジニアやデータアナリストと連携し、プロジェクトの進捗状況を把握し、品質の向上やリスクの管理に努めます。

アナリティクスエンジニア

エンジニアとしてのキャリアを描きたいなら「アナリティクスエンジニア」もおすすめです。データ分析とエンジニアリングのスキルを組み合わせて、ユーザーに高度なデータ分析の環境を提供します。ビジネスの課題に対してデータを収集・統合し、データ基盤やデータマートを構築・実装します。BIツールやプログラミング言語を使用してデータの可視化や自動化を行い、ビジネス上の意思決定をサポートします。

これらのパターンは一般的なキャリアパスの例ですが、個人の目標や興味によっても異なる場合があります。BIエンジニアとしてのスキルと経験を積み重ねながら、自身のキャリア目標に合わせて進むパスを選択することが重要です。

BIエンジニアの将来性

データの重要性は高まりつづけており、BIエンジニアの将来性にも期待ができるでしょう。企業はビジネス上の意思決定や戦略策定にデータを活用する必要性を認識しており、BIエンジニアの需要は堅調に推移しています。とはいえ、BIを導入済みの企業数はまだまだ少なく、本格的な利活用に対してまだまだ発展の余地を残しています。データ駆動型の組織が増える中で、BIエンジニアの需要は拡大しており、今後もさらにその役割を果たすことが期待されています。

今後はAIの進化により、より高度な分析や予測が求められることも予想されているため、柔軟性の高いBIエンジニアはその領域でも活躍できる可能性があります。技術や環境、ツールが絶えず進化する中で、その時その時に最適なツールを現場に定着してきた経験を持つBIエンジニアは将来の市場でも重宝される存在となるでしょう。

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