CAO(Chief Administrative Officer：チーフアドミニストレイティブオフィサー)とは、組織における「最高総務責任者」のことを指します。経営トップの補佐役として、会社全体の日々の業務運営を統括・監督する役割を担います。
主な役割は、人事、総務、財務、法務、ITなどの管理部門を指揮すること、CEOの経営方針を現場に浸透させること、業務の効率化と生産性向上を推進すること、リスク管理体制やコンプライアンス体制を構築することなどです。
この記事では、そんなCAOに必要なスキルやキャリアパス、求人例などをわかりやすく紹介します。
Chief Administrative Officerとは
Chief Administrative Officer（チーフアドミニストレイティブオフィサー：CAO）は、CxOと呼ばれる経営人材のひとりです。日本語で「最高総務責任者」と呼ばれ、組織において総務や事務、管理部門が担うバックオフィス業務を管轄し、効率的な運営をつかさどる役職です。CAOは、CEOやCOOと協力し、経営目標を達成するための社内整備について様々な手段を提供します。CAOの職務には、内部統制、行政対応、コンプライアンス、組織行事の推進など多様なタスクが含まれます。
Administrativeとは
Administrative（アドミニストレイティブ）という言葉は、以下のような意味を持つ形容詞です。
運営や管理に関するもの
事務的な、事務処理に関するもの
補助的な、支援的な
この言葉は主に次のような文脈で使われます。
| Administrative work/duties/tasks | 運営や事務処理に関する仕事や任務のこと |
| Administrative staff/personnel | 事務職員、管理スタッフ |
| Administrative office | 事務所、管理部門のオフィス |
| Administrative expenses | 運営費用、管理費用 |
| Administrative procedures | 事務手続き、運営上の手順 |
| Administrative controls | 運営統制、管理上の統制 |
つまり、Administrativeとは組織の運営や管理、事務処理に関わる補助的・支援的な性質を表す言葉です。経営の中核を成す活動ではなく、その活動を支える側面を指します。
Chief Administrative Officerの役割
Chief Administrative Officer（CAO）の主な役割は以下の通りです。
組織全体の日々の業務運営の監督と管理
- 各部門の業務が円滑に進むよう調整する
- 業務の効率化と生産性向上に取り組む
管理部門の統括
- 人事、総務、財務、法務、ITなどの管理部門を統括する
- これらの部門が適切に機能するよう指導する
最高経営責任者（CEO）の補佐と方針実行
- CEOの経営方針を現場に浸透させる
- CEOを補佐し、経営陣と現場スタッフを橋渡しする
リスク管理とコンプライアンス対策
- 組織が直面するリスクを特定し、対策を講じる
- 法令遵守体制を構築し、コンプライアンス違反を防ぐ
業績管理と改善施策
- 組織全体の業績をモニタリングする
- 課題がある場合は改善策を立案し実行する
要するに、CAOは経営の意思決定ではなく、現場における効率的な業務執行と適切な統制環境の構築が主な任務となります。
Chief Administrative Officerのスキル
Chief Administrative Officer（CAO）に必要なスキルをみていきましょう。
経営管理能力
組織の運営に関する高度な知識と経験が必要です。予算管理、効率化、リスク管理など、経営に関する幅広いスキルが求められます。
リーダーシップ
管理部門のメンバーや配下のチームを効果的に指導し、組織全体の目標に向けて動機付ける能力が重要です。リーダーシップの下で、組織の文化を形成し、ポジティブな職場環境を促進します。
コミュニケーション
上級管理職として、明確かつ効果的なコミュニケーション能力が不可欠です。内外のステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行い、組織全体での理解と協力を確保します。
問題解決能力
複雑な問題や課題に対処し、迅速かつ効果的な解決策を見出す能力が求められます。リスクを評価し、適切な対策を講じることが重要です。
法的知識
労働法、税法、企業法などの法的規制に関する理解が必要です。これによって、組織が法的なリスクを最小限に抑えることができます。
デジタル活用力
組織の運営や管理に必要な技術ツールやシステムの理解と活用能力が求められます。データ分析、プロジェクト管理、および情報セキュリティなどの技術的スキルも重要です。
これらのスキルを総合的に持つことで、CAOは組織の運営を効果的に管理し、組織全体の成功に貢献することができます。
Chief Administrative Officerのキャリアパス
Chief Administrative Officer（CAO）へのキャリアパスには一般的に以下のようなルートがあります。
管理部門からのキャリアアップ
- 人事、総務、法務などの管理部門でキャリアをスタート
- 係長、課長、部長と昇進を重ね、部門責任者になる
- 優れた業績とリーダーシップを発揮し、CAOへの内部昇進
会計・財務分野からの昇進
- 公認会計士や税理士、財務責任者としての経験を積む
- 財務運営と内部統制に関する高い専門性を持つ
- CFOからCAOに昇進するケースも
経営コンサルタントからの転身
- 経営コンサルティング会社で豊富な実務経験を積む
- クライアント企業の業務改革や経営改善をリードする
- その実績が評価されCAOとして入社
他部門の役員経験からのキャリアチェンジ
- 営業、マーケティング、製造などで役員として活躍
- 事業部門の経験を買われ、組織のマネジメントに期待がかけられる
- COO、副社長からCAOに転身するケース
いずれのルートでも、組織の業務運営やリスク管理、部門横断的な調整能力が求められます。経営層との密なコミュニケーション力と、強いリーダーシップ、問題解決力が不可欠な要素となります。
Chief Administrative Officerの求人例
CAO（最高総務責任者）の求人募集について、以下でサンプルを紹介します。
CAOの求人例1
仕事内容
- 全社のバックオフィス業務を監督
- 人事、総務、法務などの管理部門を指揮
- CEO及び経営陣への提言と補佐業務
- IT導入による業務効率化、生産性向上の推進
- リスク管理、コンプライアンス体制の構築
応募資格
- 管理職として10年以上の実務経験
- 優れた統率力とリーダーシップ
- 財務、マーケティングなどの高度な知識
- 強い問題解決能力と分析力
- 経営学の学士号以上が望ましい
CAOの求人例2
仕事内容
- 小売店舗網の業務運営管理
- 人事、総務、法務、物流、ITなどの統括
- 新規店舗開設の企画立案と実行推進
- コスト削減と生産性向上のイニシアティブ推進
- CEOの補佐と経営方針の現場展開
応募資格
- CAOまたは同等の役職での5年以上の経験
- 小売業界での豊富な経験が望ましい
- マネジメントスキルに長けた実力者
- 財務知識、データ分析能力に優れる方
- MBA、経営学修士号取得者が歓迎される
Chief Administrative Officerになるには
Chief Administrative Officer（CAO）になるには、通常以下のようなステップを踏む必要があります。
大学での専攻
- 経営学、会計学、財務、人事管理などの分野を学ぶ
- 経営関連の学位（学士号、修士号）を取得することが望ましい
入門レベルでの実務経験の積み重ね
- 管理部門（人事、財務、総務など）でキャリアをスタートする
- 基礎的な業務経験を重ね、スキルと知識を身につける
管理職への昇進
- 優れた業績とリーダーシップを発揮し、係長、課長、部長などの管理職に就く
- 部門横断的なプロジェクトリーダーなども経験が望ましい
エグゼクティブクラスの経験
- 本社の役員や副社長、CFO、COOなどの役職に就任する
- 組織全体を見渡す視野と、経営判断力を身につける
CAOへの内部昇進または外部招聘
- 同組織内で長年実績を重ねてCAOに抜擢される
- 他社や業界から優秀な人材をCAOとして招聘されることも多い
総じて10年以上の実務経験と、経営企画、財務、人事などの幅広い知識と経験が求められます。卓越した統率力とリーダーシップ、高い問題解決能力も重要な要件となります。
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