CHO(Chief Happiness Officer)とは?なるには?役割・スキル・キャリアパス

CxO

従業員の幸福を重視する経営が注目される中、Chief Happiness Officer(チーフハビネスオフィサー:CHO)という新しい役職が注目を集めています。CHOとは従業員のウェルビーイングを専門に扱う役職で、モチベーションの向上や生産性の維持・向上を目的としています。

本記事ではCHOとはどのような存在なのか、その役割や必要なスキル、CHOを目指すためのキャリアパスについて解説します。近年、人材確保が経営課題となる中、CHOという役職は従業員満足度を高め、優秀な人材の定着化を実現する上で重要な役割を果たすと考えられています。

企業に新たな価値をもたらすCHOの役割とは一体何なのか、CHOへの挑戦を考えている方は、ぜひ最後までご一読ください。

Chief Happiness Officerとは

Chief Happiness Officer(チーフハピネスオフィサー:CHO)とは、従業員の幸福や満足度を高めることを主な役割とする役職のことです。日本語で「最高幸福責任者」と訳されます。企業が従業員のウェルビーイングを重視する風潟の中で生まれた新しい役職で、従業員のモチベーションや生産性の向上を目指しています。

主な業務は、従業員の心身の健康管理、キャリア開発支援、人間関係の促進、企業文化の醸成など多岐にわたります。ストレスマネジメントのサポート、働きがいを高める環境づくり、社内イベントの企画など、様々な施策を実施します。経営陣と従業員の橋渡し役ともなり、従業員の本音を経営層に伝え、労働環境の改善につなげていきます。

従業員一人ひとりの幸福を追求することで、結果として生産性やイノベーションの向上、優秀な人材の確保と定着化を実現することがCHOの使命です。

近年、従業員の幸福がイノベーションや生産性向上に結びつくと考えられるようになり、Google、AmazonなどCHOを設置する企業が増えてきました。国内ではヤフー社などもCHOを任命しています。

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(well-being)とは、単に健康であることだけでなく、心理的、社会的、経済的な側面も含めた、総合的な幸福の状態を指します。

主に以下の5つの要素から構成されています。

ウェルビーイングの種類 内容
身体的ウェルビーイング 適切な栄養、運動、休息など、健康的な生活習慣
心理的ウェルビーイング ストレス管理、自尊心、生きがいなど、精神的な健康
社会的ウェルビーイング 人間関係、所属感、社会貢献など
職場ウェルビーイング 働きがい、人間関係、評価、キャリア形成などの職場環境
経済的ウェルビーイング 収入、貯蓄、生活水準など経済的な安定

ここに挙げたようにウェルビーイングが高まれば、幸福感、生産性、創造性の向上が期待できます。企業や政府はウェルビーイングを重視した施策を行うようになってきています。そしてウェルビーイングの実現には、個人の意識改革と同時に、職場や社会環境の整備が重要とされています。

Chief Happiness Officerの役割

Chief Happiness Officer(CHO)は、近年注目を集めている新しい役職です。企業が従業員の幸福とモチベーションを重視する風潮の中で生まれた役割で、従業員のウェルビーイング(Well-being)の向上を主な任務としています。

CHOの主な役割は以下のようなものです。

従業員の心身の健康管理

ストレスマネジメントセミナー、メンタルヘルスケア、フィットネスプログラムなどを提供し、従業員が健康で元気に働ける環境を整備します。

モチベーションとエンゲージメントの向上

キャリア開発支援、適切な評価・報酬制度の構築、社内イベントの開催など、従業員が働きがいを感じ、会社に積極的に関わる意欲を持てるよう支援します。

良好な人間関係とコミュニケーションの促進

チームビルディングの機会を設け、上司と部下、従業員同士の信頼関係や対話を深められる環境づくりに努めます。

企業文化の醸成

会社の理念や目標を従業員に浸透させ、一体感や誇りを育む取り組みを行います。

経営層への提言

従業員の本音を経営陣に伝え、労働環境や福利厚生の改善につなげる役割も担います。

こうした活動を通じて、CHOは組織の最大の資産である”人財”の質を高め、結果として生産性やイノベーションの向上、優秀な人材の確保と定着化を実現することを目指しています。一人ひとりが幸せを感じながら最大限の力を発揮できる環境を整備することが使命だと言えるでしょう。

一方で、CHOの実効性については疑問視する向きもあります。本来人事部門が行うべき業務をわざわざ別の役職に割り当てる必要性や、投資効果の測定が難しいなどの課題が指摘されています。ただ、AI時代の到来で人的資源の価値がより高まることを踏まえれば、専任のCHOを任命する企業は今後さらに増えていくものと予想されます。

従業員のウェルビーイングを最優先し、人財育成の観点から企業課題に取り組むCHOの存在意義は大きいと考えられます。今後はCHOが企業の持続的成長にどれだけ貢献できるかが問われることになるでしょう。

Chief Happiness Officerのスキル

Chief Happiness Officer(CHO)が備えるべきスキルは多岐にわたります。以下がCHOに求められる主なスキルです。

リーダーシップ

組織全体の士気と生産性向上のために尽力するCHOには強いリーダーシップが不可欠です。ビジョンを明確に示し、人々を方向付け、説得力を持って行動を促せる能力が求められます。

コミュニケーション能力

CHOは従業員と経営陣の橋渡し役を担います。従業員の声に耳を傾け、上層部にその思いを的確に伝える高いコミュニケーション力が必要とされます。さらに、プレゼンテーション力も重要です。

人間理解力・共感力

ウェルビーイングを推進するため人間性や人の心理的ニーズを深く理解する必要があります。年齢、性別、文化的背景の違いを超えて、一人ひとりの価値観や欲求を理解し、最適なサポートを提供できる人間理解力と共感力が求められます。

問題解決能力

CHOが取り組む課題は多岐にわたります。労働環境の改善、モチベーションの向上、人間関係のマネジメントなど、さまざまな問題に効果的に対処できる分析力と解決力が不可欠です。

クリエイティビティ

従業員のウェルビーイングを高めるためには、常に新しいアイデアを生み出すクリエイティビティが重要です。革新的なウェルネスプログラムやイベントを企画し、斬新な施策を打ち出せる発想力が求められます。

プロジェクトマネジメント力

自ら企画したさまざまな施策を計画的に実行し、効果を最大化する必要があります。プロジェクトを円滑に進め、期限を守り、予算内に収めるマネジメント力が問われます。

倫理観・公平性

CHOは経営陣と従業員の利害の狭間にいます。偏りのない公正な姿勢と高い倫理観が要求されるのです。

このようにCHOには幅広い能力が求められ、高度な専門性が必要とされます。これらの総合的な資質を備えたCHOが存在することで、組織のウェルビーイング経営が実現可能となります。

Chief Happiness Officerのキャリアパス

Chief Happiness Officer(CHO)へのキャリアパスは、従来の人事や総務の道とは異なる非典型的なものとなります。CHOへの就任経路には大きく分けて2つのパターンが考えられます。

人事・総務分野からの登用

従来の人事や労務管理の分野から昇格するルートです。人事の実務経験を積み、特に従業員の健康管理やエンゲージメント向上などの分野で実績を上げた人材が抜擢される可能性があります。企業内での勤務年数を経て、適性と能力が認められCHOに指名されるケースです。

心理学や人間行動学の専門家からの起用

心理学、カウンセリング、組織行動学などの分野の専門家が、その知見を活かしてCHOに就任するパターンです。企業の外部から招聘される場合が多く、民間のコンサルタントや研究者、大学の研究者などが就任候補になります。
CHOはこれらのキャリアパスを経て任命されますが、その後のさらなるキャリアアップの可能性も開かれています。CHOの職務を通じて得られる経験を活かせば、次のようなキャリアへと展開できるかもしれません。

  • 人事最高責任者(CHRO)
  • 経営コンサルタント
  • 組織行動・人材開発の専門家
  • 大学の研究者や講師
  • NPOでの活動

CHOは組織のウェルビーイング向上に寄与するだけでなく、その過程で人材育成やリーダーシップ開発、組織変革などの幅広い経験を積むことができます。こうした豊富な経験はCHROや経営層、専門家などの道を開くと考えられています。

一方で、CHOという役職自体が新しいものであり、まだキャリアパスは定まっていない面もあります。CHOが組織にとってどれだけの価値があるかによって、その重要性や処遇なども変わってくるでしょう。今後の活躍次第で、より明確なキャリアパスが構築されていく可能性が高いと言えます。

Chief Happiness Officerになるには

Chief Happiness Officer(CHO)になるためには、以下の点が重要になってくると考えられます。

学位の取得

CHOには様々な分野の知識が求められるため、心理学、組織行動論、人的資源管理、ビジネス経営などの分野で学位を取得することが有利でしょう。特に産業組織心理学や人的資源開発の専門的な訓練を受けるのがよいでしょう。

人事・総務分野での実務経験の積み重ね

企業内からCHOへ登用されるケースが多いため、人事・労務管理、従業員研修、福利厚生など人事領域での豊富な実務経験が不可欠です。組織の実情を熟知し、課題解決能力を身につけておく必要があります。

カウンセリングやコーチングのスキルの習得

従業員一人ひとりの心身の健康やモチベーションを理解し、適切なサポートを提供するためには、カウンセリングやコーチングの高度なスキルが求められます。関連する資格の取得が有利に働くでしょう。

リーダーシップ能力の育成

CHOは組織全体の士気とエンゲージメントを高める役割があるため、強力なリーダーシップ能力が不可欠です。部下のモチベーション向上、意思決定力、戦略立案力などのリーダーシップスキルを磨く必要があります。

プレゼンテーションスキルの磨き上げ

CHOは経営層に対して従業員の声を代弁し、新施策を提案・推進する立場にあります。説得力のあるプレゼンテーション能力が求められます。

関連する分野での実践的な経験の積み重ね

CHOとしての仕事に役立つ実践的な経験を積むことが重要です。人材コンサルティング、組織開発、EAPなどの経験があれば望ましいでしょう。

ネットワーキングの推進

CHOコミュニティでのネットワーキングを行い、他のCHOから学び、情報を収集することも有益です。

CHOは従業員のウェルビーイングに大きな影響を与える重要な役割です。専門的な学びと実践的な経験を両立させ、高度なスキルセットを身につけることが、CHOを目指す上で極めて重要になります。

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