CRO(Chief Risk Officer)とは?なるには?役割・スキル・キャリアパス

CxO

Chief Risk Officer(CRO)とは、企業のリスク管理を統括する最高責任者のことです。主な役割は、組織のリスクを特定し、評価・管理することです。リスク許容度を設定し、管理方針の策定や文化の醸成に取り組みます。近年、金融危機や不正リスクの高まりから、CROの役割が非常に重要視されるようになってきました。

この記事では、そんなCRO(最高リスク管理責任者)の役割やスキル、キャリアパスについてみていきましょう。

Chief Risk Officerとは

Chief Risk Officer(チーフリスクオフィサー:CRO)は、企業や組織における重要な役職の一つです。日本語で「最高リスク責任者」や「最高リスク管理責任者」と訳されます。CROは、組織全体のリスク管理に対して責任を持ちます。そして、組織が直面するさまざまなリスクを評価し、それらに対処するための戦略を立案します。これには、金融リスク、市場リスク、法的リスク、規制リスクなど、さまざまな種類のリスクが含まれます。

Chief Risk Officer(CRO)の役割

Chief Risk Officer(CRO)は、組織のリスク管理におけるリーダーシップを担い、以下の事柄に対して責任を持ちます。

戦略の策定

CROは、組織のリスク戦略を策定し、組織全体のリスク許容度やリスク管理の方針を確立します。これには、潜在的な不安要素の特定、評価、優先順位付けが含まれます。

リスク管理プロセスの開発と監督

組織が直面するリスクを適切に管理するプロセスを設計・開発します。これには、リスク要因の抽出、評価、対応策の検討、監視、報告が含まれます。また、リスク管理のベストプラクティスを推進し、組織全体の管理能力を向上させる取り組みを指揮します。

リスク文化の促進

組織全体にリスク意識を醸成し、リスクを適切に管理する文化を育成する役割を果たします。これには、従業員への教育・トレーニングプログラムの実施や、リスク管理の重要性を強調するコミュニケーションの提供が含まれます。

監査や規制当局とのコミュニケーション

外部監査や規制当局とのコミュニケーションを担当し、報告の要件や規制の遵守を確保します。また、リスク管理プロセスや方針に関する監査や検査に協力し、必要に応じて改善を実施します。

上級管理職や取締役会への報告

組織の上級管理職や取締役会に対してリスク管理に関する定期的な報告を提供し、市場環境の変化、影響、対応策などを説明します。また、重要な事件や機会に関する意思決定を支援し、リスクに関する戦略的なアドバイスを提供します。

総じて、CROは組織のリスク管理を総合的にリードし、事業の持続可能性や成長を支援するために、リスク管理の戦略、プロセス、文化を確立・推進する重要な役割を果たします。

Chief Risk Officerのスキル

Chief Risk Officer(CRO)に必要なスキルは多岐にわたりますが、以下で主要なものを挙げてみます。

リスク管理の専門知識

リスク管理に関する幅広い知識と経験が必要です。金融リスク、市場リスク、法的リスク、規制リスクなど、さまざまなリスクについて深い理解を持っている必要があります。

思考力

事象と事象の因果関係を見極め、組織の活動と結びつけて考えることが大切です。そのため、リスク要因を評価し、組織の業績への影響を推測する思考力は欠かせません。

計算能力

複雑な計算を解析し、適切な対策を講じるための能力が必要です。また、予期せぬ問題が発生した際に迅速に対処する能力も重要です。

リーダーシップ

リスク管理チームや他の関係者をリードし、組織全体のリスク管理を実現するためのリーダーシップ能力が求められます。メンバーをモチベートし、指導し、方向付けることが重要です。

コミュニケーションスキル

複雑な状況について非専門家にも理解しやすく説明し、リスク管理に関する情報を組織内外の関係者に適切に伝える能力が必要です。

規制やコンプライアンスの知識

業界の規制や法令に関する知識が必要です。また、規制当局とのコミュニケーションや監査対応の経験も重要です。

変化への適応能力​​

組織や環境の変化に対応する柔軟性と適応能力が必要です。リスク状況が変化する中で、迅速かつ効果的に対応できる能力が求められます。

これらのスキルを総合的に持ち、リスク管理のリーダーとしての役割を果たすことがCROには求められます。

Chief Risk Officerのキャリアパス

企業におけるChief Risk Officer(最高リスク責任者)へのキャリアパスには、一般的に以下のようなステップがあります。

学歴

リスク管理、金融、経済学、数学などの関連分野での学士号または修士号の取得が一般的です。

エントリーレベルのポジション

多くの人は金融機関の信用リスク分析、市場リスク分析、オペレーショナルリスク分析などの部門から始めます。

中間管理職

リスク分析やモデリングなどの実務経験を積み、リスク管理チームのリーダーやマネージャーなどの中間管理職につきます。

上級管理職

リスク管理責任者、管理部門長、CRO補佐などの役職に就きます。これらの役職では、リスク管理全体の戦略的な意思決定に関与します。

CRO(最高リスク責任者)

最終的にCROのポジションに就くことができます。CROは取締役会に直接報告し、組織全体のリスク管理体制を監督する最高責任者です。

キャリアの発展には10年以上の実務経験が必要とされることが多く、リスク分析、モデリング、リスク管理の専門知識を深めることが重要です。また、MBA取得や専門家資格の取得も有利に働きます。上級職に就くにつれ、リーダーシップ、コミュニケーション能力、戦略的思考力が求められます。

Chief Risk Officerの求人例

求人例1 – 金融グループ

仕事内容

  • グループ全体のリスク管理体制の構築と運営
  • リスク許容度の設定と管理方針の策定
  • 重要なリスク評価の実施と経営陣への報告
  • 関連規程・ルールの整備
  • ガバナンスの強化と、リスク文化の醸成

応募資格

  • 金融業界での15年以上の実務経験
  • リスク管理部門でのマネジメント経験
  • コンサルティング会社でのリスク管理経験
  • 高いコミュニケーション力とリーダーシップ
  • 英語力(ビジネスレベル)

求人例2 – 銀行業

仕事内容

  • グローバルリスク管理フレームワークの確立
  • グループ全体のリスクアペタイト策定
  • 重大なリスクの特定、評価、報告
  • ストレステストの実施とリスク軽減策の提案
  • リスクコミッティーへの出席と取締役会への報告

応募資格

  • 金融業界での10年以上の経験
  • CRO、リスク管理ディレクターなど同等の経験
  • MBA、FRMまたはPRMの資格が望ましい
  • 卓越したリスク管理スキルと高い数理能力
  • 英語が母語レベル

いずれの求人も、高度な専門知識、豊富な実務経験、リーダーシップ、コミュニケーション力が重視されていることがわかります。

Chief Risk Officerになるには

Chief Risk Officer(CRO)になるためには、以下の手順を考えてみましょう。

教育と専門知識の獲得

CROになるために、リスク管理や関連する分野の教育を受けることが重要です。経済学、ファイナンス、ビジネス管理などの分野で学位を取得し、リスク管理に関する専門知識を深めることが役立ちます。また、資格や認定を取得することも役立ちます。

経験の積み重ね

CROになるためには、リスク管理や関連する分野での豊富な経験が必要です。金融機関、保険会社、コンサルティングファーム、大手企業などでリスク管理の役職を経験し、幅広い業界やリスクタイプに関する知識と経験を積むことが重要です。

リーダーシップの発揮

経営幹部としてリーダーシップ能力が求められます。リスク管理チームや他の関係者をリードし、組織全体のリスク管理戦略を推進するためのリーダーシップを発揮することが重要です。リーダーシップの経験を積むために、管理職やリーダーシップポジションでの経験を積んでおくと良いでしょう。

コミュニケーション能力

CROはリスク管理に関する情報を組織内外の関係者に適切に伝える必要があります。優れたコミュニケーション能力を身につけ、リスクに関する複雑な概念をわかりやすく説明できる能力を磨くことが重要です。

キャリアのプランニングと成長

出世のためにも、キャリアプランニングと成長が不可欠です。目標を設定し、自己啓発を継続し、リーダーシップやリスク管理のスキルを向上させるための機会を積極的に追求することが重要です。

これらのステップを踏みながら、リスク管理のエキスパートとしての能力を高め、将来的にCROのポジションに就くための準備を進めていくことが重要です。

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