CSO(Chief Sustainability Officer)とは?なるには?役割・スキル・キャリアパス

CxO

CSO(Chief Sustainability Officer)とは、企業の持続可能性(サステナビリティ)に関する戦略立案と施策の推進を統括する役職です。環境対策のプログラムはもちろん、社会的責任や企業統治の側面からも、人類の持続的発展に向けた取り組みをリードします。

近年、ESG投資の広がりなどから、企業のサステナビリティ経営が重要視されるようになり、CSOの役割が注目されています。CSOには高度な専門性とリーダーシップが求められます。環境・社会・ガバナンスの3側面を横断的に理解し、経営層と協働して持続可能な企業価値創造につなげていくことが期待されています。

CSOに求められるスキルは、戦略的思考力、コミュニケーション力、規制・基準の理解、技術的知見、データ分析力、イノベーション力、ネットワーキング力などです。幅広い知識と経験が不可欠となります。CSOへのキャリアパスとしては、主に環境・サステナビリティ分野、CSR・企業倫理分野、経営企画・事業開発分野からの登用が一般的です。国際的に見ても製造業、金融業、小売業など様々な業界の大手企業がCSOを設置しています。

Chief Sustainability Officerとは

CSO(Chief Sustainability Officer:チーフサスティナビリティオフィサー)は、企業や組織において、持続可能性戦略の中核を担い、環境やESGに配慮した活動に責任を持つ役職です。日本語で「最高持続可能性責任者」と訳されます。CSOには、組織内で環境、社会、経済的な持続可能性に関する問題を監督し、方針を策定し、実施する責任があります。彼らは時にはCSR(企業の社会的責任)戦略の立案や、環境への影響や社会的影響を減らすための取り組みをリードします。

サステナビリティとは

サステナビリティ(持続可能性)とは、簡単に言えば「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」を意味します。このコンセプトは1987年の国連の「環境と開発に関する世界委員会」の報告書で提唱されました。

サステナビリティには大きく分けて3つの側面があります。

環境的側面

気候変動対策、生物多様性保全、資源の効率的利用、廃棄物削減など、地球環境への負荷を最小限に抑えることが重要です。

社会的側面

人権尊重、労働者の権利確保、製品安全性の確保、地域社会への貢献など、社会の要請に応えることが不可欠です。

経済的側面

長期的な事業の成長と収益性を確保し、健全な事業活動を持続することが必要不可欠です。

企業がこれら3つの側面に適切に配慮した経営を行うことで、真の企業の持続可能な発展につながると考えられています。近年はESG(環境・社会・ガバナンス)投資の普及などにより、サステナビリティ経営の重要性が高まっています。

サステナビリティは単に環境配慮にとどまらず、社会の要請に応え、健全な事業を維持するためのリスク管理の観点からも欠かすことのできない経営課題となっているのです。

Chief Sustainability Officerの役割

Chief Sustainability Officer(CSO)及び「最高持続可能性責任者」の主な役割は以下の内容です。

  1. 持続可能性に関する戦略を立案し、環境、社会、ガバナンス(ESG)への取り組みを主導する。
  2. 温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーの利用拡大、廃棄物削減などの環境対策を進める。
  3. 人権尊重、労働慣行の改善、地域社会への貢献など、社会的な側面の取り組みを監督する。
  4. コーポレートガバナンス強化、リスク管理、コンプライアンス徹底など、ガバナンス面の施策を推進する。
  5. 持続可能な調達や製品ライフサイクル管理など、バリューチェーン全体の持続可能性を向上させる。
  6. 従業員の意識向上や行動変容を促すための研修などを企画・実施する。
  7. 持続可能性に関する情報開示や外部ステークホルダーとのコミュニケーションを担当する

このようにCSOは経営陣に持続可能性の観点から助言し、組織横断的にESGの取り組みを推進するリーダーシップを発揮する重要な役割を担っています。

Chief Sustainability Officerのスキル

Chief Sustainability Officer(CSO)に求められるスキルをみていきましょう。

戦略的思考力

環境・社会・ガバナンス課題を企業戦略に統合し、持続可能な成長のためのビジョンを描く力が必要です。

リーダーシップ

部門横断的な調整役として組織をまとめ上げ、変革を主導できるリーダーシップが不可欠です。

コミュニケーション力

ステークホルダーとの対話を重視し、持続可能性の重要性を社内外に効果的に伝える能力が求められます。

規制・基準の理解​​

環境法規制、人権ガイドライン、情報開示基準など、様々な基準に精通していることが前提となります。

技術的知見

環境負荷低減技術、循環型ビジネスモデル、再生可能エネルギーなどの専門知識が必要不可欠です。

データ分析力

温室効果ガス排出量、水使用量、廃棄物量などのデータを分析し、課題を特定する能力が求められます。

イノベーション力

新しいビジネスモデルや製品・サービスを生み出す創造力と、リスクをコントロールする力が重要です。

ネットワーキング力

NGO、政府機関、有識者などとのネットワークを構築し、外部の知見を取り入れることが期待されています。

CSOには経営的なセンスとともに、幅広い知識と高い専門性が求められる役職と言えます。

Chief Sustainability Officerになるには

Chief Sustainability Officer(CSO)になるためには、以下のような経歴や経験が求められます。

関連分野での十分な実務経験

環境、社会、ガバナンスのいずれかの分野で5年以上の実務経験があることが望ましい。
コンサルティング業界や NGO での経験も高く評価される。

高等教育の履修

環境科学、持続可能性、CSRなどの関連分野で修士号または博士号を取得していることが有利。

専門性の取得

環境マネジメントシステム、サステナビリティ報告、CO2排出量算定などの専門性を持つことがプラスとなる。

経営的視点とリーダーシップ

事業戦略の立案経験や、部門をまとめる経験があると望ましい。
ステークホルダーマネジメントやコミュニケーション能力が求められる。

関連分野での実績

具体的な環境対策や社会貢献活動などの実績があれば評価は高くなる。

幅広い知識とネットワーク

環境、社会、ガバナンスに関する広範な知識とともに、外部ステークホルダーとの強いネットワークが望まれる。

CSO職は企業の持続可能性を全面にリードする重要な役割なので、関連分野の高度な専門性と経営的視点の両方が必要不可欠とされています。

Chief Sustainability Officerの求人例

ここでは、Chief Sustainability Officer(最高持続可能性責任者)の求人募集についてのサンプルを2つ紹介します。

求人例1

募集職種: Chief Sustainability Officer
雇用形態: 正社員

業務内容

  • グループ全体の環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する戦略立案と推進
  • 気候変動対策、循環経済への取り組み、人的資本への投資などを統括
  • ESGデータの収集と分析、情報開示の最新基準への準拠
  • 外部有識者やNGOとの対話を通じた課題把握と施策立案
  • 経営陣への助言と、ESG経営の浸透を図る社内啓発活動

応募資格

  • ESGまたはサステナビリティ分野での10年以上の実務経験
  • 大学院修士課程以上の学歴(環境科学、持続可能性分野が望ましい)
  • 英語ビジネスレベルの語学力
  • 経営層とのコミュニケーション能力

求人例2

募集職種: CSO候補
雇用形態: 正社員

業務内容

  • グループ全体のサステナビリティビジョンの策定とロードマップ作成
  • 環境負荷削減、人権デューデリリジェンス、ガバナンス強化施策の立案と実行
  • バリューチェーン全体の脱炭素化と循環型ビジネスモデルの構築
  • マテリアリティの特定とKPIの設定、進捗管理
  • サステナビリティ報告書の発行と、ステークホルダーコミュニケーション活動

応募資格

  • サステナビリティ、CSR、環境分野での10年以上の経験(コンサルティングも可)
  • 製造業におけるサステナビリティへの理解と取り組み実績
  • 事業戦略の立案能力と組織横断的なリーダーシップ
  • サステナビリティ関連の資格(LEED,GRI、ISO14001等)があれば尚可
  • 語学力(英語:ビジネスレベル、その他語学があれば望ましい)

以上2つの求人例にあるように、CSO職には高度な専門性と幅広い経験、経営マインドとリーダーシップ力が必須とされていることがわかります。

Chief Sustainability Officerのキャリアパス

Chief Sustainability Officer(CSO)へのキャリアパスには主に以下の3つのルートがあります。

環境・サステナビリティ分野からのルート

  • 環境コンサルタントや環境部門の責任者などから登用されるケースが多い
  • 環境科学、環境工学、サステナビリティ学などの専門教育を受けた人材
  • NGOやシンクタンクでの活動経験も重要視される

CSR・企業倫理分野からのルート

  • 企業の社会的責任(CSR)や企業倫理を担当していた部門のリーダーが昇進
  • 人権、労働慣行、コーポレートガバナンスなどの知見を有する人材

経営企画・事業開発分野からのルート

  • サステナビリティを事業戦略の中核に据える動きから、経営企画出身者が登用
  • 新規事業開発の経験があり、サステナブルなビジネスモデルに高い関心
  • 全社的な視点と実行力、調整力があると評価される

いずれのルートでも、環境・社会・ガバナンスの3側面を統合的に理解する能力と、経営陣との円滑なコミュニケーション能力が重要視されます。

また最近では、専門的なサステナビリティの教育課程を設けている大学や大学院が増えており、そうした課程を履修した人材が直接CSO職に就くケースも出てきています。

総じて、サステナビリティへの熱意と専門性、加えて経営的なマインドセットを併せ持つ人材がCSO職に求められていると言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました